グレーゾーンの子を前に大人は「発達が遅れているだけ」「追いつくのでは」と考えがちだけど…特別支援教育専門家「初期対応は<反対>に考えてみて」
特別支援教育の専門家で、500名以上の子どもの支援に携わる前田智行氏は、「実は私自身幼いころから問題行動が目立つ子どもでした」と言います。当事者であり支援のプロフェッショナルだからこそわかる、「今本当にすべきこと」とは?「子育ての突破口が見えた!」と共感・感謝の声が多数の著書『「できる」が増えて「自立心」がどんどんアップ! 発達障害&グレーゾーンの子への接し方・育て方』から一部を抜粋して紹介します。 【書影】500名以上の子どもの支援に関わってきた、特別支援教育の専門家 前田智行さん著書『「できる」が増えて「自立心」がどんどんアップ! 発達障害&グレーゾーンの子への接し方・育て方』 * * * * * * * ◆医療は一生もの 昔は、病院は病気になったら行く場所であり、治ったら終わり、という関係性でした。 しかし、高齢化が進み、生活習慣病などが増えている現代では、定期的に病院に通いながら生活する、という生活スタイルが増えています。 発達障害の子どもは、自律神経が不安定だったり、風邪をひきやすかったり、アレルギーやその他疾患にかかりやすいことが知られています。 そのため、発達障害、そしてその他の病気を含めて、定期的に病院や福祉施設を利用しながら生活するスタイルが求められます。 現在は、児童発達支援事業所や、放課後等デイサービスも増えています。 そして、今、医療福祉は、「困ったときに行くもの」ではなく、生活の一部とみなして、生涯つきあっていく生活を構築することが、発達障害の子を取り巻く環境で求められています。
◆早く対策できたらラッキー 発達障害の行動を一部持っているが診断はおりない。あるいは知能指数がIQ71~84で、支援を必要とする場面が多いものの、支援制度が少ない状態の子ども。 彼らは「グレーゾーン」の子どもと呼ばれています。正式な診断名ではありませんが、園や学校では行動面で課題が大きく対応に悩んでしまうことも多く、相談が増えています。 グレーゾーンの子どもを見ると、大人としては、「たまたま発達が遅れているだけではないか?」「少ししたら追いつくのではないか?」と考えて、様子見としてしまうこともよくあります。 このような、初期対応については、反対に考えてみることをおすすめしています。 たとえば、「もう少し様子を見ましょう」ではなく、「グレーゾーンであれば、早めに見つかってよかったですね。よければ療育に参加してみませんか? 今のうちに発達を促せば、周囲に追いついてくるかもしれません」というように考えたほうが、将来のリスクを減らすことができます。
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