グレーゾーンの子を前に大人は「発達が遅れているだけ」「追いつくのでは」と考えがちだけど…特別支援教育専門家「初期対応は<反対>に考えてみて」
◆すっからかんになると、話を聞く力が発達する 発達障害の子どもは、話を聞く力の苦手さを持つことが、多い傾向があります。 これは、こだわり行動や、途中で話を忘れる不安などから、自分の話を止めることができず、聞く体制へ切り替えができないためです。 この状態で、「相手の話を聞きましょう」と指導するのは特性的に厳しいですし、本人にも不満やストレスが溜まります。 そこで、基本的に子どもの話は「最後まで聞ききる」ことがおすすめです。「最後まで」というのは、何分、何時間でも聞くということです。 話が止まったら、「もっとないの?」「続きは?」とさらに追求してみましょう。そこで本人が、「もうないよ!」と言って、頭の中がすっからかんになれば、そこで初めて「相手の話を聞く」という姿勢に切り替えられます。 このようにして、聞く経験を積んでいくと、話す聞く=100:0だった割合が、徐々に50:50に近づけることができます。 なお、大人は話を聞き続けるのは大変なので、複数人で分担して、協力して話を聞くことがおすすめです。
◆後ろから少しずつ教える 未就学の時期は、着替え、歯磨き、トイトレ(トイレトレーニング)など覚えることがたくさんです。そのため、特別支援が必要な子の中には、嫌になって投げ出す子もいます。 そんなときは、後ろから教えてみるのがおすすめです。 後ろからというのは、はじめから子ども1人でさせるのではなく、大人が一緒にすべての動作のガイドをしながら、最後のステップだけを子ども本人にさせるということです。 たとえば、パンツやシャツ、ズボン、靴下、帽子を身につけてほしい、と思ったときは、パンツやシャツ、ズボン、靴下までを一緒に手伝いながら身につけさせ、最後の帽子だけは、子どもが自分で被るようにうながします。 1つの動作をすると、「完了」となるので、それが子どもの成功体験になります。次に、パンツやシャツ、ズボンだけを一緒に行い、靴下と帽子を自分でやってもらいます。 このように、完成の一歩手前から、少しずつサポートを減らして、できる部分を増やしていきます。 大人は手伝う箇所が多く、少し大変かもしれませんが、子どもは最初の段階で、成功体験を多く積めるので、モチベーションが継続しやすく負担が少ない教え方です。
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