久保建英の移籍問題を整理してみた…なぜビジャレアルを退団し新天地にヘタフェが最有力とされているのか
日本代表MF久保建英(19)がビジャレアルをシーズン途中で退団。同じラ・リーガ1部のヘタフェを最有力候補として、出場機会を求めて新たに期限付き移籍することが確実な状況になった。久保は王者レアル・マドリードからビジャレアルへ期限付き移籍し、2年目のラ・リーガ1部を戦ってきた。 ビジャレアルは2日のラ・リーガ1部第17節でレバンテに2-1の勝利を収めた。3試合ぶりの白星で2021年の初陣を飾り、暫定順位を4位に上げたなかで、久保はリーグ戦で初めてベンチ入りメンバーのなかに名前を連ねなかった。 レバンテ戦後の記者会見で久保を招集外とした理由を問われたウナイ・エメリ監督は、昨年12月31日に話し合いの場をもった久保から、退団したい意思を告げられたと説明している。 「このクラブに残りたいのか、それとも本当に退団したいのかを聞くと、タケは退団を求めていると明言した。なので、ここでプレーする気持ちがある選手だけを(レバンテ戦に)招集した」 49歳のスペイン人指揮官が「本当に――」とあえて問いかけたのは、久保の去就をめぐる報道が数多く飛び交っていた状況を指している。そして、久保の移籍を報じるニュースはベンチに入りながらピッチに立つことなく終わった、2020年の最後の3試合を介して一気に過熱していた。 先発こそ2度に甘んじていたものの、久保は9月の開幕からリーグ戦で13試合続けて出場機会を得てきた。一転して試合に絡めなくなった背景を探っていくと、2度目の先発を果たし、後半13分までプレーした日本時間昨年12月14日のレアル・ベティス戦に行き着く。 1-1で引き分けたベティス戦の前半40分に、アンカーとして全試合に出場してきたビセンテ・イボーラが負傷退場。左ひざの前十字じん帯断裂と診断され、今シーズン中の復帰がほぼ絶望となったまさかのアクシデントを受けて、ビジャレアルは中盤の守備的な選手の補強を余儀なくされた。 候補にあげられたのは、メキシコ1部リーグのクラブ・アメリカに期限付き移籍させていた、23歳のサンティアゴ・カセレスだった。しかし、アルゼンチン出身のカセレスを復帰させるにあたっては、各クラブで「3」が上限として設けられているEU圏外枠が問題になってくる。 ビジャレアルは今シーズンのEU圏外枠を、アルゼンチン代表DFラミロ・フネス・モリ、コロンビア代表FWカルロス・バッカ、そして久保で行使してきた。他の2人はビジャレアルが保有権をもつ選手であることを考えれば、久保との期限付き移籍契約を再考せざるをえない状況になる。 同時にビジャレアルはセリエAのインテルに所属していた、元ベルギー代表のラジャ・ナインゴランの獲得にも動いている。ナインゴランが加入すればEU圏外枠にも影響を与えないが、昨シーズンも所属した古巣カリアリへ期限付き移籍することが昨年末に決定している。