久保建英の移籍問題を整理してみた…なぜビジャレアルを退団し新天地にヘタフェが最有力とされているのか
いずれにしても長期離脱するイボーラを含めて、故障者が続出している危機で、ビジャレアル側も現有戦力をあらためて評価したのだろう。そのなかで首都マドリードに拠点を置くスポーツ紙『マルカ』が昨年末に、若手選手へ向けられたエメリ監督の厳しいコメントを報じている。 「誰にでもチャンスはある。しかし、パフォーマンスがよくなかった選手に10試合続けてチャンスを与えるために、私はこのクラブにいるわけではない」 具体的な名前こそ言及しなかったものの、久保を指している言葉だったと受け止められる。UEFAヨーロッパリーグではグループステージの5試合に先発し、1ゴールをあげて攻撃陣をけん引していた久保だが、13試合に出場したリーグ戦におけるプレー時間は292分にとどまっていた。 後半の残り数分での途中出場が多かっただけではない。マジョルカへ期限付き移籍していた昨シーズンの後半戦で存在感を放ち、一気に評価を高めたポジションの右サイドでも、得点王争いでトップに立つ大黒柱、スペイン代表のジェラール・モレノが君臨するだけになかなか起用されない。 時間が限られていても、あるいは得意なポジションでないにしても、与えられたチャンスを生かしてほしいとエメリ監督は考えていたのだろう。久保と入れ替わるように下部組織出身で、シーズンの序盤をBチームでプレーしていた20歳のFWフェル・ニーニョ、18歳のFWジェレミー・ピノらの若手が出場時間を大きく伸ばし、そろってゴールも決めている。 ニーニョとモレノがゴールを決めて、レバンテを振り切った2日の試合後の記者会見で、エメリ監督は「タケには大きなポテンシャルがある」と久保に対してさらに言及している。 「まだまだ足りない部分があり、成長するためには忍耐強くチャンスを待ちながら、経験を積み重ねていく必要がある。しかし、タケはより多くの出場機会を得られる環境に身を置きたいと考えていた」