日本最大級のこども園 共働き世帯が多い地域で「幼稚園枠の希望者約3倍」渋渋・渋幕の学校法人が手がけた園の人気の理由
■幼児期に体験活動が必要な理由 ── 園内にさまざまな種類の野菜や花の苗が植えてあるのが印象的です。
石井正子施設長:ネットで調べればすぐになんでもわかる時代ですが、園ではあえて実体験を大切にしたいと思っています。例えば、梅干しを見て、食べた経験がある大人は酸っぱいと思って唾液が出てきますが、食べたことがなければその反応は起こりません。実際に触れているものに関しては豊かにイメージが湧くけれど、体験がなければ二次元のものでしかないんです。幼児期には、見て、触って、匂いを嗅いで、五感に訴える体験をたくさんさせてあげる必要があると思っています。
AIなどに変わっていって、今、大切とされているスキルも将来的にいらなくなってくるものが出てきます。それでも、いわゆる生きる力と、人と協力して取り組んで、思いやりを持つというソーシャルの面はどんな時代でも変わらないと思いますし、自分から何かをしたいと思う意欲の面も大事にしていきたいことですね。 ── 幼児期にさまざまな体験をさせることのよさはなんですか。 木村英美園長:子どもは本来、いろいろなことに興味関心を持っていて、何か好きなことをやってみたいと思ったときに、夢中になって飛び込んでいけるんです。そこで失敗したとしても、立ち直りも早いですし、それを踏まえて次はこうしてみようと工夫もしていきます。幼児期には、人との出会いもそうですが、どんな環境を子どもに出会わせてあげるかを考えていく必要があると思います。
── 子どもの習い事や娯楽の種類も多種多様ですし、どれが本当にいいのか悩む親は多いです。 木村英美園長:あれがいいから、これがいいからと、あまりになんでもしてしまうと子どもは完全な受け身になってしまいます。選択肢が多い時代ではありますが、子どもの頃を子どもとして過ごさせてあげる時間をこの園では大切にしたいです。子どもは大人のミニ版ではありません。喧嘩もたくさんしていいし、どろんこになってもいいです。子どもらしく充実した時間を過ごせたらと思い描いています。