3メガ・地銀97行にみる組込型金融が盛り上がる理由、BaaS時代が開幕したワケ
2024年現在、国内外の金融機関がBaaS(Banking as a Service)事業を拡大している。国内では紀陽銀行や北國銀行など、多くの金融機関がデジタルトランスフォーメーションを進め、BaaS事業に取り組んでいる。3メガバンクなどの取り組みの報道が増える中、今後BaaSはどのように進展していくのだろうか。時代背景や技術の進化などの変遷と事業国内外の動向を踏まえて、2024年現在におけるBaaSの潮流を、日本金融通信社 特別顧問 小俣 修一氏が解説する。 【詳細な図や写真】地域金融機関向け新共同プラットフォーム全体概要(出典:日本IBM 報道発表)
2024年、変化が起きつつあるBaaSの潮流
現在、多くの金融機関が「BaaS(Banking as a Service)」事業に取り組みつつある。 たとえば、紀陽銀行は同行で稼働するオープン勘定系システム「BankVision」の最新基盤である、パブリッククラウドを利用した「BankVision on Azure」を採用した。同行は三菱UFJ銀行のBaaS事業「& BANK」から提供される家計簿・資産管理機能などを活用している。銀行業の高度化や地域のDX推進などを含めた新たなDX戦略を推進しているのだ。 さらにこの7月、北國銀行が次世代地域デジタルプラットフォーム構築プロジェクトにおいてBaaS基盤を構築し、企業向けのBaaS事業を開始することを公表した。同行では、フィンテックサービスを展開する金融サービス仲介業者であるf9kのオンラインバンク「Finswer Bank(2024年末開始予定)」へバンキング機能を提供するという。 伝統的金融機関のデジタルバンク化だけでない。福岡フィナンシャルグループやきらぼし銀行が3~4年前に新たに開業した(チャレンジャーバンクとしての)デジタルバンクであるみんなの銀行やUI銀行も、銀行としての基礎ができ上がり、BaaS事業の展開が始まっている。2025年には、池田泉州HDが準備を進める01BankもGMOあおぞら銀行から提供を受けてBaaS事業を開始するとしている。 小俣氏は「ここ数年で多くの金融機関でデジタルトランスフォーメーションが進み、デジタルバンキングへの移行を指す『デジタルバンキングトランスフォーメーション(DBX)』への取り組み事例が増えている」と語る。 その上で、2024年の世界的な動向におけるデジタルバンキングの肝として「BaaSによるEmbedded Finance(組込型金融サービス)」「AI(生成AI)技術」「クラウドセキュリティ」の3点を挙げた。