子どもの主体性はどのように引き出す?3つのポイントを専門家が解説 体験談も
近頃、教育・子育ての場で子どもの「主体性」や「主体的な学び」が大切だとよく聞くようになりました。 保護者のかたとしても、お子さまが自分から勉強したり、目標を立ててそのための準備を自ら進んでやってくれたら、うれしいもの。 ただ、「主体性は、一体どうすれば身に付くの?」「そもそも、今の子どもたちに求められている主体性って、どういうものなのかがよくわからない」なんて思う時もあるかもしれません。 そこで今回は、主体性とは何か? そしてお子さまの主体性を引き出すコツを、ベネッセ教育総合研究所主任研究員の岡部悟志が解説します。
そもそも、主体性とは?なぜ重要?
「主体性」とは、自ら考え判断したり、自ら責任を持って行動する態度や様子のことを指します。 決して目新しい言葉ではありませんが、急速な社会の変化に対応するために国内外の教育制度や政策が変化するなかで、あらためてその重要性がクローズアップされているといえるでしょう。 たとえば、私たちを取り巻く「自然環境の破壊」や「国際情勢の不安定化」が進行しています。 また、人生100年時代といわれるなか、学校で学んだ知識が、その後も一生通用するとは限りません。さらには、AIの登場でこれまでの職業がなくなる可能性も指摘されています。 このようなめまぐるしい社会の変化や、先を見通せない社会に適応していくために、主体的に新しいことに挑戦したり、課題を解決するために仲間とともに取り組んだりすることが求められているのです。 とりわけ、これから数年後に社会に出るお子さまたちは、社会の変化がさらに大きくなるなかで、今の大人たちより一層、状況に応じて臨機応変に自分の人生やキャリアを主体的に切り拓く力が求められるのです。
主体性があるかないか、どう判断する?
お子さまの主体性について、考えてみましょう。 主体性を発揮している時のお子さまは、どんな様子を示すでしょうか。イメージしてみましょう。 他人が決めたことよりも、自分で決めたことのほうが、お子さまも、実際に行動に移して取り組むことでしょう。 そして、自分で決めたからには責任を持ってやり遂げようとします。そういう時のお子さまは、「やりたい」という内から湧き出るモチベーションをもち、時間を忘れて没頭したり、集中して取り組んだりします。その結果、高いパフォーマンスをあげたりします。 主体的に行動したことであれば、たとえうまくいかなかったとしても、そこから多くの気付きが得られます。あきらめずに粘り強く取り組んだり、やり方を工夫したり、失敗から教訓を学ぶ姿勢をみせることでしょう。 逆に、お子さまが主体性をうまく発揮できていない時は、どうでしょうか。保護者のかたや先生などから指示されたことを受け身でやっている状況では、集中力が途切れやすく、時間の割には結果が伴わないこともあるでしょう。また、失敗すると指示した人や周りのせいにしたり、すぐあきらめてしまったりしがちです。 ここで強調したいのは、「あの子には主体性があるけれど、この子には主体性がない」と言えるわけではないということです。 なかなか勉強に集中して取り組めない様子だけを見て、つい、「うちの子は主体性がない」と判断してしまうこともあるかもしれません。ですが、大人も同じですが、一人のお子さまの中にも、主体的になれる時と、そうではない時があるはずです。勉強は苦手だけれど、好きなゲームがあって、そのゲームのことなら自分から積極的に調べたりするなど、きっと主体的に取り組めるものがあると思います。 まずは、お子さまがどんなことに集中したり夢中になって取り組んでいるのかをよく観察して、最初はその分野からお子さまの主体性を発揮できる環境を整えてあげることが、保護者のかたの大切な役割といえるでしょう。 お子さまが主体的になれる分野の体験を上手に生かして、少しずつほかのことでも主体的に取り組めるようにしていく、といった考え方が重要だと思います。