眠りが浅く、やる気が起きない...悩みを抱える50代に、精神科医が伝えたいこと
Xフォロワー39万人突破の大人気精神科医Tomy氏。ゲイのカミングアウト、愛するパートナーとの死別、そして、うつ病の発症......苦しみぬいて得たその考え方は、多くの人にヒントを与えてくれる。『THE21』2024年10月号では、50代が陥りがちな孤独・健康・相続の相談事をTomyさんが解決。その温かくも、斜め上からの回答に、モヤモヤした悩みも一掃されるはずだ。(構成:辻 由美子) 【図】医師が語る、50代が健康診断で必ずチェックすべき「4つの数値」 ※本稿は、『THE21』2024年10月号特集「50代で必ずやっておくべきこと」より、内容を一部抜粋・再編集したものです。
年を取るにつれて孤独に慣れていく
【孤独】 これまで独身で暮らしてきましたが、老後もひとりと考えると寂しくてたまらなくなります。 人づき合いが苦手で、恋愛経験もほとんどないまま50代になりました。心を許せる友人もおらず、結婚もしていないので、仕事を辞めたあと、どうやってひとりで日々を過ごせばいいのか......孤独な老後が怖いです。(52歳・女性)
――年を取るほど孤独感はやわらぐ。頭を"お暇"にしないよう練習しよう。 ―― 若いときの孤独は精神的にけっこうキツい。でも年を取るにつれて孤独に慣れてきます。それは身体が執着を求めなくなるからです。 他人と一緒にいるとそれなりにエネルギーを使います。でも年を取ってくると、その体力がなくなってくる。ひとりで過ごすほうがラクなのです。たまに寂しさを感じても、その割合は年を取れば取るほど減ってきます。 安心してください。うまくできたもので、人は自分の孤独にはちゃんと打ち克てるようにできているのですよ。アナタがもし、老後ひとりで日々を過ごすことが不安なら、今から自分だけで過ごせる練習をしておくといいですね。 これは練習しないとできません。逆に言うと、練習すれば誰でもできるようになります。例えばひとり旅をしたり、ひとりでレストランで食事をしたり。自分だけで楽しめる時間を意識して持つといいでしょう。 ただ、いくら孤独に慣れても、一日誰とも話さないのは精神的によくありません。ときどき電話できる友達を見つけておくとか、行きつけの喫茶店をつくってマスターと挨拶できる仲になっておくとか、ネットで交流できる相手を探しておくのもいいでしょう。相手が誰もいなかったら、ペットの犬や猫に話しかけるのでもかまいません。 もしどうしても孤独を感じてしまうときは、頭を"お暇"にしないよう、目の前のことに集中しましょう。 そもそも孤独を感じるのは頭が"お暇"で色々考えすぎてしまうからです。そんな隙間をつくらないよう、例えばコーヒーを飲んでいるなら、その味、香り、温度、舌に触れる感触などに集中して味わう。散歩をしているなら、周囲の景色や空の様子、風や太陽の光を感じながら、歩くことに集中しましょう。 目の前の一つひとつの事柄に全集中して頭を忙しくしていれば、孤独を感じる暇もなく、あっという間に時間は過ぎていきますよ。