FC東京が”反則肘打ち”レアンドロに科した出場停止&罰金の独自追加処分は甘いのか、厳しいのか?
リーグ戦やルヴァンカップで一発退場者が出た場合、チェアマンから独立した機関であるJリーグの規律委員会は、日本サッカー協会(JFA)が定める「競技及び競技会における懲罰基準」に照らし合わせながら、当該選手に対する処分を決める。 そして、懲罰基準では著しい反則行為や極めて危険な行為、乱暴な行為、極めて反スポーツ的な行為など、一発退場の対象となる「10」の反則行為に対して、下される処分を「1回目の場合:最低1試合の出場停止」と定めている。 公式記録上では「反スポーツ的行為」と記されているレアンドロの一発退場は、今シーズンに限れば初めてだった。中谷もこの点を踏まえて「1試合の出場停止では――」と言及したのだろう。 一方で懲罰基準は前出の「10」の反則行為を上回る、さらに悪質な反則行為に対する処分も段階的に定めている。例えば「選手等に対してつばを吐きかける行為」で最低6試合の出場停止及び罰金、「乱闘・喧嘩」で最低6試合の出場停止、「審判員に対する暴行・脅迫」で最低6ヵ月の出場停止及び罰金――などがそれぞれ1回目の場合の処分となっている。 出場停止を科された試合数においてJリーグ史上で最も厳しい処分が、2007シーズンにヴァンフォーレ甲府に所属していたMF茂原岳人の「7」となっている。 同年6月20日のFC東京戦で主審の判定に激怒し、つばを吐きかけて宣告された一発退場に対して「4」の、その際に浴びせた侮辱的な発言に対して「2」の、退場時に試合運営部品を破損させた行為に対して「1」の出場停止がそれぞれ科された。 このように懲罰基準の恣意的な運用は許されない。そのなかで今回のレアンドロの反スポーツ的行為に対しては、1回目で最低2試合の出場停止と罰金が科される「選手等に対する暴行・脅迫および一般大衆に対する挑発行為」に相当すると規律委員会に判断された。 FC東京のリリースによれば、中谷に対するレアンドロの反則が「相手競技者と競り合った際、過剰な力を用いて右腕で顔付近を打った行為は、相手競技者の選手生命を脅かしかねない非常に危険な行為」と結論づけられ、まず2試合の出場停止が決まった。 レアンドロは昨年8月のサガン鳥栖戦で、相手選手の顔付近に手や肘を使ったプレーがあったとして厳重注意処分を受けている。さらに同10月のガンバ大阪戦でも、相手選手と並走している際に顔面を故意に殴打した行為が、ガンバの申し立てを受けて極めて危険かつ悪質と追って判断され、3試合の出場停止と罰金30万円を科されている。 こうした点が、懲罰程第11条の「違反行為の重複による加重」に相当すると規律委員会に判断された。程では「同種の違反行為を重ねて行った場合には、その違反行為について定められた懲罰の2倍以下の範囲内において、懲罰を加重することができる」と定められているなかで、1試合がさらに加重されて3試合の出場停止となり、J1の場合は1試合あたり10万円と定められている罰金も程通り30万円が科された。 レアンドロの場合、違反行為の重複によって加重される出場停止試合数は最大で「4」となる。つまり、JFAの懲罰規定に則れば、名古屋戦での一発退場で科される出場停止は最大で6試合だった。この観点では、Jリーグによる処分はやや寛大だったと言える。