多くの大人が「懐かしい!」と思う、“長年の課題”を攻略へ…。あのヨーグレットが気づけば「グミ化」一体なぜ
と、そこで筆者にひとつ疑問が湧いた。「ヘルシーな要素」のお菓子を、子供向けにつくるものだろうか……? 実は開発当初、ヨーグレットとハイレモンの顧客ターゲットは、子供ではなかったそうだ。メインターゲットに据えていたのは、20代、30代の子育て世代、特に女性。その子供ではなく、あくまで本人が食べるものと位置づけられていた。 ところが販売してみると、一緒に子供も食べるようになり、幅広い世代に支持を受けたそうだ。そしてだんだんと、30代、40代のママが「子供向け」に購入する形が中心になっていったという。それが今再び、グミを出して、消費者の裾野を大人に広げようとしているというのは不思議な話だ。
ちなみに、錠剤をイメージした包装から、「パチンとタブレットを取り出す作業」は、他のお菓子にはない体験として子供たちに歓迎された。 偶然の産物だが、子供にとっては、「大人になったような感覚」のある独自の食体験としてウケたのだ。これは他メーカーの製品だが、「タバコを吸う真似をする」シガレット型の菓子が流行したのと同じような原理かもしれない。 ■ありそうでなかった「もちっと」を目指して 話をグミに戻そう。40年間愛された味の継承と、新たな顧客層拡大という重責を担ってはじまったグミの開発。競合製品を徹底的に分析し、そこに勝つために最もこだわったのは「硬さ」だ。
「やわらかいと味がぱっと広がりやすいのですが、グミユーザーが求めている弾力感が実現しにくくなります。もちっとした弾力があるけど歯切れがよく、タブレットと同様、噛むと味がふわっと広がる硬さを目指しました」(高宮さん) というのも、実は高宮さんの中には日頃から、「世の中には『もちっと』を謳っている商品は多いけれど、本当にあれはもちっとしているのか?」という疑問があったそうだ。「もちっと」を想像したときに、「これだ」と実感してもらえる食感がもっとあるのでは……と物足りなさを感じていたのだ。