多くの大人が「懐かしい!」と思う、“長年の課題”を攻略へ…。あのヨーグレットが気づけば「グミ化」一体なぜ
そんな状況を打開するために同社は、「そもそもいつから親はヨーグレットを子供に与えるのか」「何歳頃から離れてしまうのか」などについての消費者の声を集め、分析しながら販売数拡大の戦略を練っている。 ■ひょっとして「売り場」に原因が…? そこで、仮説として見えてきた「購入時期に間が空いてしまう」理由の1つは、売り場の位置付けだ。 ヨーグレット、ハイレモンは「駄菓子」と言われる安価なお菓子の棚に置かれていることが多い。その棚に来るのは、幼児か小学生とその両親、祖父母が中心だ。
それ以外の層が「自分の消費のために」訪れることは比較的少ない。このため自然と目にする機会が減り、手に取らなくなってしまうのだ。 大人もよく利用する、いわゆる袋菓子や箱菓子などの棚か、その近くにあれば、空白期間は空かないのかもしれない。ヨーグレットやハイレモンの味わいは、甘さ控えめで適度に酸味もあり、大人にも十分通用するからだ。そこから言えば、現在人口のボリュームゾーンである高齢者にも、十分選ばれる可能性がある。
山下社長も、「少子高齢化が進む今、シニア層の攻略は大きな目標です。ヨーグレットの誕生は1979年で、ハイレモンはその翌年です。幼い頃食べた方々が、今から高齢層に入っていきますから、選択肢に加わるのではないかと考えています。『昔食べたよね』という記憶が存在することが、1つの武器になるのではないでしょうか」と期待を寄せる。 ただし、競争の激しいお菓子の棚を移動することは、一朝一夕にできることではない。そこで、「大人にとっても自分のためのお菓子としてのブランド認知を高め、消費者を拡大しよう」という作戦の1つがグミだったのだ。
■市場動向とブランドの強みが重なった では、なぜ「グミ」だったのか。ここからは、グミ版が生まれた経緯を追っていこう。前述した通り、大人が自分で購入するお菓子に変えるためには、売り場を変える必要がある。だが、現在の小箱入りスタイルでは「駄菓子」に選別され、他の売り場への進出が難しい。 「そこで、包装形態を変えたり、他のお菓子にして、ブランドイメージから変えていけばいいのでは? というアイデアが生まれました」