多くの大人が「懐かしい!」と思う、“長年の課題”を攻略へ…。あのヨーグレットが気づけば「グミ化」一体なぜ
生産企画部長で、商品開発を統括する高宮隆一さんは、開発のきっかけをこのように振り返る。 また、この「他のお菓子」が他でもないグミになったのには、菓子の市場動向が大きく関係していた。前述した通り、グミはこの10年で2倍に成長している注目の市場である。 産業分野における市場調査レポートを提供するSurveyReports社の調査によると、2023年の世界のグミ市場規模は242億米ドル(約3兆6300億円)だ。さらに、2033年末までに567億米ドル(約8兆5050億円)まで拡大すると予測されている。年平均成長率(CAGR)に換算すると、約8.9%もの高成長が見込まれているのだ。
POSデータから菓子カテゴリーごとの購入者特性を分析した結果でも、グミ購入者は20~30代の構成比が高いことがわかった。加えて、ヨーグレット、ハイレモンの味を「最も再現できるお菓子」を考えた際に、「グミが適任ではないか」という意見も上がったという。 これらの要因を総合して、ヨーグレットグミのブランド強化を意図したリニューアル方針が決まったのだ。 「20代、30代に支持されているグミをつくることで、まずは若年層の大人を攻略するとともに、ブランドの強みも生かせるのではと考えました」(高宮さん)
■40年前に「大人向け」に開発されていた ここで少し、グミの原点である、ヨーグレットとハイレモンの成り立ちに触れておきたい。両者はいずれも、発売から子供に愛され続けるロングセラー商品だ。幼児、小学生の親を中心に選ばれる理由について、「誰でも食べやすいおいしさ」と、「少しヘルシーな要素」ではないかと高宮さんは分析する。そしてこれらは、約40年前の開発当初に商品コンセプトとして設計されたものだという。
「ヘルシーな要素」というコンセプトは1970年代にしては新しいのではないか。そう問うと、きっかけは、サプリメント市場が早くから確立された欧米を視察したことだったそうだ。 「サプリの要素をお菓子に取り入れてヘルシーな訴求をしたら、日本発で新しい価値が提案できるのではないか」と着想したという。だからカルシウムが入るヨーグルト風味と、ビタミンCが入るレモン風味になったのだ。 さらに、ヘルシー感を出すために包装も薬をイメージ。錠剤のように、銀紙からパチンと押し出すタイプが採用された。