「イールドカーブ・コントロールの運用を一部見直し」日銀・黒田総裁会見12月20日(全文1)
YCC運用見直しが景気に与える影響は
記者:読売新聞の山内と申します。今回のYCCの運用見直しが景気に与える影響についてお伺いしたいと思います。今日の段階で、長期金利は上限の0.5の手前の0.4%台まですでに上昇しておりまして、この金利上昇で企業の借入金利ですとか、個人も固定型の住宅ローンなどに影響が広がるとも予想されます。市場機能の改善という目的があるにしても、そういう悪影響も懸念されると思いますが、この点について、総裁、どのようにお考えか教えていただけますでしょうか。 黒田:まず第一に、短期の政策金利をマイナス0.1%、10年物国債の金利目標0%程度というYCCの基本はまったく変わっておりません。そういう意味で、経済に対する刺激効果というか、経済成長を促進し、経済の拡大を図っていくという効果に基本的な変更はありません。また、こうしたYCCの運用の一部の手直しによって、企業金融への波及がよりスムーズ、安定的に起こるということで、景気にはむしろプラスではないかというふうに思われます。 また、いずれにせよ、これは公表文等で申し上げていることではありませんけれども、ご承知のように、年初のころは物価上昇率1%未満でしたか。その後、ウクライナ戦争その他を経て、国際的な商品市況が上昇し、また、夏にかけて一時、非常な円安が進んだということもあって、輸入物価が大幅に上昇し、消費者物価への転嫁ということで、足元、消費者物価の上昇率、3.6%まできてますし、それよりも何よりも物価上昇期待というか、予想物価上昇率自体も上がってきております。ということは、名目金利が同じでも、実質金利はどんどん下がっていまして、実は景気拡大効果っていうか、景気刺激効果がより強まってきているわけですね。 そうした下で、このイールドカーブのゆがみを、10年のところのほうで制するっていうことが、何かイールドカーブ・コントロール全体の効果をそぐとかいうことはまったくないというふうに考えています。 【書き起こし】日銀・黒田総裁会見12月20日 全文2へ続く