働きながら年金をもらうと年金が停止される?|年金が停止される理由と年金停止額を解説【シン・会社のマナー】
老後の生活設計にとって、年金は欠くことのできないものです。老後を支える年金の代表的なものは、国民年金と老齢基礎年金と老齢厚生年金ですが、現在これらの年金の支給開始年齢は65歳となっています。年金は支給が開始されると、生涯にわたって受け取ることができます。死ぬまでもらえるのですから、長生き時代には心強い収入源と言えるでしょう。 写真はこちらから→働きながら年金をもらうと年金が停止される?|年金が停止される理由と年金停止額を解説【シン・会社のマナー】 ところで、この老齢年金には支給停止という仕組みがあるのをご存知でしょうか? なかには、仕事を続けることによって減額、支給停止になる制度もあります。今回は、年金の停止について人事・労務コンサルタントとして、「働く人を支援する社労士」の小田啓子が支給停止のリスクを中心に解説していきます。
年金が停止される理由
年金には障害年金、遺族年金などもありますが、ここでは老齢年金の支給停止について取り上げることにします。国民年金の老齢基礎年金は、障害基礎年金を選択した場合など一部の例を除いては、支給停止になることはありません。 けれども、適用事業所に雇用されていた人が対象となる老齢厚生年金は、いくつかの支給停止の仕組みがある年金です。年金の支給停止について、詳しく見ていくことにしましょう。 ◆雇用保険の給付による支給停止 年金の支給開始は原則65歳ですが、生年月日によっては65歳前から年金を受け取れる人がいます。これは「特別支給の老齢厚生年金」と呼ばれている年金です。男性は昭和36年4月1日以前生まれ、女性は昭和41年4月1日以前生まれの人が該当します。65歳までの年金は、雇用保険の給付との調整で支給停止になる場合があります。 65歳未満の厚生年金受給者が、失業して雇用保険の基本手当を受けた月は基本手当が優先され、年金は全額支給停止となります。また、高年齢者雇用継続給付金による調整も無視できません。仕事を続けている人が、60歳以上になって給与が減った時、あるいは60歳以上で再就職した時、給与の減額率に応じて高年齢者雇用継続給付金が支給されることがあります。 この場合、老齢厚生年金を受け取っていると、給付金の支給率により最大で賃金の6%が年金から減額されます。高年齢者雇用継続給付金は65歳までの給付なので、これも65歳未満の年金受給者が対象となっています。 この場合、老齢厚生年金を受け取っていると、給付金の支給率により最大で賃金の6%が年金から減額されます。高年齢者雇用継続給付金は65歳までの給付なので、これも65歳未満の年金受給者が対象となっています。 ◆仕事をしていると年金が減る? 在職老齢年金 次に、60歳以上の老齢厚生年金受給者全員が、対象となる支給停止の仕組みについて見ていきましょう。年金が支給開始になってもからも仕事を続けていると、年金の全部、または一部が受け取れなくなる場合があります。それが「在職老齢年金」という制度です。 厚生年金の被保険者が、老齢厚生年金を受け取れる時、年金や給与・賞与の額によって年金が支給停止になる仕組みです。高齢になっても働き続けたい人にとって、これは知っておくべき重要な制度です。支給停止の対象になるのは、加給年金を除いた老齢厚生年金で、報酬に比例して受け取れる年金です。ちなみに加給年金というのは、一定の条件の配偶者や子がいる場合に加算される年金です。 国民年金の老基礎年金は、支給停止の対象にはなりません。この仕組みは厚生年金の加入者に限定されているので、フリーランスの人や社会保険に加入していないアルバイトなどは適用の対象外となります。