働きながら年金をもらうと年金が停止される?|年金が停止される理由と年金停止額を解説【シン・会社のマナー】
いくらから年金が停止されるの?
在職老齢年金の対象者は、どのような計算でいくら年金が減ることになるのでしょうか? これは、対象者の総報酬月額と受け取る年金の額によって変わってきます。厚生年金の保険料は、賃金の月額によって決まりますが、それは標準報酬月額と呼ばれています。総報酬月額は、その月の標準報酬月額+その月以前1年間の標準賞与額÷12の式で計算されます。 つまり、対象となる月以前1年間の報酬の平均月額を求めるわけです。この総報酬月額と老齢厚生年金(報酬比例部分)の基本月額を足した金額が、50万円を超える場合、超えた分の2分の1の金額の年金が支給停止になります。少々わかりにくいので、年金の基本月額が10万円の人を例にとって、具体的な年金受け取り額を計算してみましょう。 (1)総報酬月額30万円、年金基本月額10万円の場合 30万円+10万円=40万円 支給停止はありません。年金は全額支給されます。 (2) 総報酬月額45万円、年金基本月額10万円の場合 10万円-(45万円+10万円-50万円)×1/2=7.5万円 2万5千円が支給停止になり、7万5千円の年金が支給されます。 (3)総報酬月額50万円、年金基本月額10万円の場合 10万円-(60万円+10万円-50万円)×1/2=0 年金は10万円全額が支給停止になります。 支給停止の基準となる、50万円は令和6年度の金額です。法改正などで基準額が改定になることもあります。
年金の支給停止の解除と注意点
雇用保険の給付を理由とした支給停止は、65歳で解除となります。もともと、雇用保険の基本手当は65歳未満の失業者に対する給付であり、65歳以上の人に対する失業給付は高年齢者求職者給付金になります。したがって、基本手当の受給が終了すれば、年金の支給停止もなくなります。 高年齢者求職者給付金による、調整も同様に65歳で終了します。しかし、それまでの間は在職老齢年金と高年齢者雇用継続給付金による、減額の両方が適用されますので注意が必要です。60歳以上の対象の在職老齢年金は、厚生年金に加入して働いている限り、制度の適用は続きます。ただし、計算式で支給停止がないと判定された月は、年金は全額支給されます。 この仕組みは、厚生年金の被保険者でなくなると解除されることになります。ここで加給年金のことにもふれておきましょう。配偶者に対する加給年金は、配偶者が20年以上加入している老齢厚生年金や障害年金などを受けられるときは支給停止になります。また、在職老齢年金の計算により、老齢厚生年金が全額支給停止になっているときは、加給年金も支給されないことも知っておきましょう。