井上尚弥の今春予定3団体統一戦を巡り“PPV配信放映権争奪戦“が勃発…第1弾成功で「Amazonプライムビデオ」も参戦名乗り
これまで日本では、PPVのシステムそのものが整備されておらず、「お金を払って映像でボクシングを見る」という文化が定着していなかったが、その画期的な第一歩を前に井上も、「PPVはアメリカでは主流。日本では初めてで馴染みのないものだと思うが、時代も変わってボクシングを見るのはPPVという流れになっていくと思う。一発目を成功させたい。その思いで臨みたい」と期待を寄せていた。 大橋会長は、具体的な視聴者件数を発表しなかったが、「目標数値は超え、満足のいく次につながる結果だった。合格点。成功といえる」と、強気ともいえる視聴料金3960円に設定されたPPV配信が成功裏に終わったことを明かした。 ディパエンは、ムエタイで鍛えた驚異的なタフネスで、井上の強打に8回まで耐えてみせたが、初の世界戦で実績もない無名のボクサー。今回は井上のネームバリューだけで視聴者の関心を集めたことになるが、次のドネア戦はドラマ性があり注目度がさらにアップする。 ドネアは2019年11月にさいたまスーパーアリーナで行われたWBSS決勝で、井上に判定で敗れたが、ボクシング史に残る名勝負を演じ、その後、再起してWBCのベルトをゲット。昨年12月には、勢いのある無敗の25歳の暫定王者、レイマート・ガバリョ(フィリピン)を衝撃のボディショットで沈めて、39歳にして輝きを増しており、井上との再戦の行方は世界的に注目を集めている。 今回有料配信の実績を作った「ひかりTV」、「ABEMA」に加え、条件的には、PPV配信会社に遅れをとる、地上波のフジテレビを含めて、ドネア戦の放映権の争奪戦が起こるのも無理はないだろう。 もうひとつ争奪戦が起きている背景としてPPV配信会社側のビジネス面での思惑がある。日本での動画配信サービス事業は、右肩上がりの成長産業。各社ともに独自コンテンツを武器に視聴者の取り込みにしのぎを削っている。「Amazonプライムビデオ」は、月額500円の定額制のサブスクリプションだが、“動画配信戦争“を勝ち抜くためのプロモーション、広告費の先行投資として考えれば、巨額の放映権料もけっして高くはない。