【バレー】河野裕輔のエール! 第27稿パリオリンピックを振り返って
元日本代表・JTサンダーズ広島でも活躍した河野裕輔さんによる男子バレーボールコラム。今回はもちろん!パリオリンピックを振り返って。
皆様こんにちは。河野です。熱闘が続いたパリオリンピックも終わり、私もようやくいろいろな整理がついてきたところです。今回はそんなパリオリンピックにおける男子日本代表のゲームで何が起こっていたのかを、私なりの私見として述べさせていただく。
準備段階
今回のオリンピックに臨むにあたり、男子日本代表は最高の準備をしたことは間違いないであろう。ネーションズリーグ(以下VNL)銀メダル、直前のテストマッチでも世界ランク1位のポーランドに勝利と非常に順調に仕上がっていた。あとは怪我なく大会に入り、コンディションを整えることができればメダルを夢見ていいチームになっていると思った人は多かったのではないだろうか。もちろん私もそう願い、応援していた。
予選リーグ
オリンピック男子バレーボール全体のオープニングゲームとなった7月27日のドイツ戦。ここが今回のターニングポイントになったと考えている。オリンピックというビッグゲームにおいて、初戦の入り方というのは想像できない程に難しい。東京オリンピックではベネズエラに勝利することで、大きな流れをつかむ事ができた。しかし今回、VNLの時にはフルセットでの勝利であったが、その際出場していなかったドイツの主軸・グロゼルとツェンガーが参戦。ドイツは確実にVNLの時よりも充実したメンバーであった。以前にも初戦の入り方が非常に難しく、重要であると述べさせていただいたが、ドイツは日本の崩し方を徹底して行い、勝ちをもぎ取っていった。
日本がやられて嫌なこと
日本はサイドアウト型のチームであることは以前も述べさせていただいた。よってサーブで崩され、ブロックに止められたり、ワンタッチでトランジションに持ち込まれる状況が連続すると、日本はピンチに陥る。さらにハイセットの打ち合いになると、日本はさらに苦しい状況に追い込まれる。それでも石川祐希、髙橋藍、西田有志が踏ん張り、互角の戦いをしたことは本当に日本が強くなったことの証明だと考える。以前よりはるかにハイセットでも打ち合えていた。 ではなぜハイセットの打ち合いに持ち込みたくないのか。それは諸外国の大抵のチームが、日本より高さのあるチームだからだ。インシステム(MBの攻撃が使える状態)であれば相手ブロックを崩すことも想定できるが、ハイセットになると正面から相手3枚ブロックとの駆け引きをしなければならない。そうすることによりスパイク決定率は格段に下がってしまうことは、当たり前なのである。例えるならサッカーにおいて、キーパーとディフェンダー1人に対してシュートを打つか、ディフェンダー3人に囲まれた状態でシュートを打たなければならない状況かという事に近い。