ドラフト裏話「指名されないかも」名門・早大で静まり返った大教室→安堵の声…楽天5位指名のスラッガーに監督「宗山よりいいと思う」
今年も様々なドラマを生んだプロ野球のドラフト会議。1位指名選手の笑顔が華やかに報じられる一方で、厳しい“指名漏れ”の現実に直面する選手もいる。東京六大学の名門・早稲田大から、そんな明暗が分かれた2選手の「テレビに映らない」現場をレポートする。《全2回の2回目/最初から読む》 【実際の様子】「明暗わかれすぎ…」楽天ドラフト5位・吉納の歓喜の瞬間…一方で、印出主将は? 早大のドラフト会見場「会心のガッツポーズ」当日の様子&公式戦での候補選手たちも一気に見る ドラフト会議が始まってから、早大の会見場になっていた大教室は沈黙が続いていた。 報道関係者など40人ほどが集まっていたが、会議の模様を映し出す映像だけがスクリーン上で淡々と流れていた。 「指名されないかも――」 40人の中にはそんな不安が出てきていた者もいたように思う。 1位入札から1時間30分以上が経ったころ、日本ハム5位指名で山縣秀の名前が呼ばれた。女子マネジャーだろうか、安堵の声が聞こえる。そして3球団空いて、楽天5位で吉納翼の名前も呼ばれた。 「まずはホッとしているのが一番です。正直諦めかけていましたが、最後まで信じて待ち続けて良かったと思っています」 緊張感が解け、安心した表情で吉納は第一声を吐き出した。
早大監督が「将来、とんでもないバッターになります」
六大学屈指の長距離ヒッターは、念願のプロへの扉を開いた。 吉納のリーグ戦デビューは2021年。入学早々、1年春の3試合目だった。小宮山悟監督が代打で起用し、試合後の会見でこう言ったことを覚えている。 「吉納は将来、とんでもないバッターになりますよ」 2019年の春のセンバツ。愛知・東邦高は準決勝で兵庫・明石商高と当たった。2年生ながら主軸を打っていた吉納は、この年の高校生投手ナンバーワンと言われた中森俊介(現ロッテ)から、左中間にホームランを叩き込んだ。 「たまたまテレビで見ていて、逆方向のスタンドに放り込んですごいなと思った」 これが、小宮山監督が吉納の名前を脳裏に刻んだ最初のシーンだ。 その約1年後、突然のコロナ禍が起こり、高校からのプロ入りも視野に入れていた吉納の高校野球は、練習すら満足にできずに終わる。 東邦高の1年先輩である熊田任洋(現トヨタ自動車)が早大に入学してプレーしていたこともあり、当時の森田泰弘監督が「早稲田に行けば未来は広がってプラスになる」と吉納にも勧めてくれたという。 レギュラーに定着したのは2年の春からだ。 4年間の成績は、通算打率2割6分1厘、13ホームラン、52打点(10月28日現在)を記録してきた。5球団が競合した明大・宗山塁が通算打率3割4分2厘、10ホームラン、59打点だったことを考えると、その成績の優秀さが伝わる。春の早慶戦では2本の豪快なホームランを放って優勝に花を添えた。
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