お尻に火がついているから、やれることはなんでもやる 環境政策の先進地・米カリフォルニア州が食品ロス削減にも本気を出した
アメリカのカリフォルニア州は、先進的な環境政策をおこなっている州として知られている。 【写真】こんなに違うカリフォルニア州のフードバンク 2020年までに温室効果ガス排出量を「1990年の水準」まで削減、2035年までには販売できる新車を排ガスの出ないゼロエミッション車のみに、2045年までには電力供給量に占める再生可能エネルギーの割合を100%に、など野心的な政策を次々に打ち出している。 2021年に「千年に一度」の熱波と「史上最大」の山火事にみまわれたカリフォルニアにとって、気候変動は差し迫った危機である。お尻に火がついているから、やれることはなんでもやる、ということなのだろう。(食品ロス問題ジャーナリスト/井出留美)
食品ロスの削減で気候変動対策
2022年1月には、生ごみ埋め立て地から発生するメタンを削減するため、食品ロスのリユースとリサイクルを義務づける州法「SB-1383」を施行した。メタンの温室効果は二酸化炭素の25倍以上と言われており、環境に与えるインパクトがきわめて大きな物質の一つだ。 新しい州法では、生ごみの分別を義務化し、各自治体に生ごみを回収して堆肥(たいひ)やバイオガスにリサイクルさせる。州内の卸売・小売業者には、まだ食べられる余剰食品を廃棄せずに食料支援団体へ寄付することを義務化し、2024年からはホテル・飲食店・病院・学校・大規模イベント会場などにも適用。違反者には罰金を科す。 州法「SB-1383」の数値目標は以下のとおり。 ============================== (1)2025年までに、州全体の有機廃棄物の廃棄量を2014年比で75%削減する。 (2)2025年までに、現在廃棄されているまだ食べられる食品の少なくとも20%を再分配する。 ============================== ============================== 【筆者注】「有機性廃棄物(Organic Waste)」には、食品、緑化資材、庭ごみ、有機繊維製品、木材、紙、印刷用紙、堆肥、下水汚泥などが含まれる。 ==============================