《「またトラ」で起こる“食料危機”》トランプ氏再選で日本に流れ込む“リスクのあるアメリカ産食品” 日本で禁止されている農薬やホルモン剤が使われているケースも
アメリカ産の食品に潜むリスク
日本の食料自給率は38%と極めて低い水準にある。アメリカからの輸入量が増えれば、自給率はさらに下がることになる。 「世界情勢の悪化や、気候変動で輸入がストップすれば国産食品だけで食卓をまかなうことはできず、食料危機は免れません。今春、天候不順や円安などの影響でオレンジ果汁の供給が枯渇し、市場からオレンジジュースが消える“オレンジショック”がありました。背景にはオレンジの貿易自由化で、輸入頼りだったことがある。これはほかの食品でも起こりうることです」(鈴木さん・以下同) 恐ろしいのは、“圧力”の末に日本に流れ込むアメリカ産の食品には、命を蝕むリスクのある食品が紛れ込んでいるということだ。 「農水省が2017年に行った調査によると、アメリカ産の小麦の97%から発がん性の疑いが指摘される農薬が検出されました。 また、アメリカでは果物や穀物の収穫後に日本では散布が禁止されている防かび剤を使用しているケースがあります。毒性が強く、人体への影響も懸念されていますが、日本に輸入される際には“食品添加物”として扱われスルーされてしまうのです」 牛肉や乳製品も同様だ。 「2022年、台湾でアメリカ産豚肉の輸入禁止を訴える大規模デモが起こりました。それは、アメリカで飼育される牛や豚の飼料に、興奮剤・成長促進剤として使われる化学物質が使用されていたことによるものです。それだけでなく牛には、成長を促す目的でホルモン剤が投与されているケースもあります。これは乳がんの増殖因子になると指摘されている。いずれも日本では使用が認められていません。 アメリカ産の食品がいままで以上に輸入されることになれば、こうした危険な食品を口にしてしまうリスクがそれだけ増えるということです」
教訓にすべきオレンジショック
来年1月に第47代アメリカ合衆国大統領に就任するトランプ氏だが、すでに各国首脳との電話会談などを行い始動している。返り咲きで、さらなる自国ファーストに意欲を燃やすトランプ氏が、今後どのような要求を押しつけ、交渉を仕掛けてくるかはまだわからない。柴山さんが言う。 「アメリカが強気の姿勢を示してきたら、日本も関税を引き上げるなど対抗措置をとるべきでしょうが、残念ながらそれはあまり期待できません。しかし、唯々諾々と要求を受け入れてしまえば、肉や乳製品などの分野でアメリカ産のものが溢れ、国産のものを食べたければ高いお金を払わなければいけない時代がやってくるでしょう。 そうならないためには、政府が農家や酪農家、畜産業などに対し、いままで以上に保障を手厚くすること。それを国民全体の総意にするなど、私たち消費者の意識を変えていく必要があります」 鈴木さんも続ける。 「安いからと輸入品ばかりを選ぶのは、日本の農業を衰退させるばかりです。オレンジショックを教訓に、国産食品を選び国内農業を守るという視点をしっかり持つことが求められます」 トランプショックを悲観するだけでは、私たちの食卓を危機から守ることはできない。 ※女性セブン2024年12月5日号