豪州戦を前に長友佑都は本田圭佑がSNSで発した声をどう受け止めたのか…「ぶれると結果は出ない。苦しいときこそ信じること」
そして、長友を支えてきたポジティブな思考回路は、日本全体へも向けられている。いまの日本に何が必要なのかと問われた長友は、こんな言葉を残している。 「いままでやってきたことを信じることですね。一人ひとりがぶれるとこの先も結果は出ない。苦しいときこそ仲間を、監督やスタッフを信じていくことだと思う」 最終予選の3試合でわずか1ゴールにとどまるなど、得点力不足の他にも解決すべき問題は数多く存在する。ただ、それらを乗り越え、最後に目標を成就させて挫折を過程に変えるためにも、絶対に下を向かない強靱なメンタルは欠かせない。 開幕前の低空飛行を右肩上がりに転じさせた、本田とともに戦ったワールドカップで得た濃密な経験が詰まった引き出しもあると長友は力を込めた。 「南アフリカ大会やロシア大会の前に、チームが上手くいかずに雰囲気がよくないときにどのような状況でみんながひとつになって、グループリーグを突破して、決勝トーナメントに行けたのかという経験を、僕自身は根拠として持っているので」 対するオーストラリアは2次予選から11連勝中と、絶好調で日本戦に臨んでくる。 長く屋台骨を背負ってきたFWティム・ケーヒルらのレジェンドが、ロシアワールドカップ後に引退。世代交代が急務になったチームにはDFハリー・サウター(22・ストークシティ)、MFアイディン・フルスティッチ(25・アイントラハト・フランクフルト)、FWアワー・メイビル(26・ミッティラン)らが台頭している。 特に198cmの長身を誇るサウターは、2次予選を含めてチーム最多の6ゴールをマーク。高さと強さを武器にするオーストラリアの特徴を攻守両面で体現している。 「僕たちは日本がいいチームだと知っている。スランプの彼らが僕たちの脅威にはならない、と思うほど僕たちは愚かではないが、僕たちもまた彼らに脅威を与えるだろう」 油断はないとサウターが自信をみなぎらせれば、現役時代にはサンフレッチェ広島で森保監督とともにプレーしたグラハム・アーノルド監督は、連勝を「12」に伸ばすことに重圧は感じないと、ともにオーストラリアメディアの『news.com.au』に語っている。 「すべての重圧は日本の方にかかっている。なぜならば、彼らは3試合で1試合しか勝てていないからね」 セレッソ大阪でプレーする28歳のアダム・タガートを1トップにすえた、[4-2-3-1]を主戦システムとするオーストラリアは、3試合を終えて7ゴールとグループAを含めた12ヵ国中で最多得点をマーク。直近の第3戦では日本が0-1で苦杯をなめさせられたオマーンを、3-1のスコアで下して日本に乗り込んできている。 データを比べるほどに日本が直面している逆境が際立ってくる。だからこそ本田がつぶやき、長友も共鳴した窮地を楽しめるメンタリティーが何よりもまず必要になる。埼玉スタジアムから届く吉報を、本田は日本を応援する一人として、グアム代表と戦うカンボジアを指揮しながら引き続き滞在しているバーレーンで待っている。 (文責・藤江直人/スポーツライター)