豪州戦を前に長友佑都は本田圭佑がSNSで発した声をどう受け止めたのか…「ぶれると結果は出ない。苦しいときこそ信じること」
悲願の初出場を果たした1998年のフランスワールドカップから、4年ごとに紡がれてきた軌跡が6大会で途切れるかもしれない。敵地でサウジアラビアに臨む大一番を前にして、キャプテンのDF吉田麻也(33・サンプドリア)はこんな言葉を残していた。 「自分の代のチームでワールドカップ出場を逃すわけにはいかない、というプレッシャーはあります。キャプテンである以上は、そこの責任は非常に重く感じています」 実際にサウジアラビアに屈し、森保ジャパンを蝕むピッチ内外のプレッシャーがさらに増した逆境で本田が送ったエールは檄へと変わり、選手たちの胸に響いていた。 お互いを認め合いながら切磋琢磨し、2010年代の日本をけん引してきた長友は10日のオンラインによるメディア対応で、すでにチェックしていた盟友・本田のツイートに「そこは彼と同じ気持ちですね」と、思いをシンクロさせながらこう続けた。 「僕もこれまでのサッカー人生で何度も逆境を経験してきましたし、そのたびにはい上がってきました。そのなかではネガティブに考えるだけではなくて、ポジティブに楽しんでいた自分もいた。それ(逆境)をはねのけてやろうと強い気持ちで臨んできたので」 日本人選手で初めて3大会続けてワールドカップでゴールを決め、同時にアシストもマークした史上6人目の選手にもなった本田は、ガンバ大阪のジュニアユースからユースへ昇格できなかった中学生時代をはじめ、何度も挫折を味わわされてきた。 しかし、逆境に直面するたびに壮大な目標をぶち上げては逃げ道を遮断。周囲からはビッグマウスと半ば揶揄される状況に不敵な笑みを浮かべ、自ら招き入れるプレッシャーを成長への糧に変えてきたサッカー人生で本田はこんな名言も残している。 「最後に成功すれば挫折は過程に変わる。だから成功するまであきらめない」 明治大学入学後にボランチからサイドバックに転向するまでは、全国的にはほぼ無名の選手だった長友は、現在進行形で個人的にも逆風にさらされている。 精彩を欠く日本の悪い意味での象徴として「年齢的な問題で往年のスピードや運動量が衰え、もはや日本の戦力になっていない」や、あるいは「いい加減、若手選手にポジションを譲れ」といった批判がネット上で浴びせられている。 生まれついての性格を「マジで悩みがないんです。逆境が大好物なんですよね」と公言してはばからない長友は、日本代表と自分自身が直面する逆境をむしろ歓迎する胸中に、本田のツイートを介してあらためて気がついているはずだ。