「はしゃぎたい人と静かに見たい人で席を分けて」――コロナ以降のライブ鑑賞、ファンの心境変化
コロナ前は度肝を抜かれたK-POPライブの歓声。新規ファン参入で今後は?
チカさん(30代女性・仮名)は、コロナ禍に突入する少し前の2019年夏から、韓国の13人組ボーイズグループ・SEVENTEENのファンになった。仕事でひどく落ち込んでいた時に、K-POP好きの妹にすすめられたのがきっかけだった。 チカさんは妹を誘い、同年11月に幕張メッセで行われたコンサートに足を運んだ。彼女にとって人生初となるアイドルの現場だった。チカさんが驚いたのは、ファンの盛り上がり方だ。ライブ開始前から会場のあちこちで上がる悲鳴に、度肝を抜かれたと振り返る。 「ライブ中も、絶叫マシンレベルの雄たけびが上がるんです。韓国ではファンも大声で歌うし、歓声ももっとすごいよと言われましたが(笑)。また曲ごとに決まった掛け声があるため、それを覚えてこないといけない。新規ファンの私はできなかったので、肩身が狭かったです。とはいえ、ライブはそれらの戸惑いを凌駕するくらい素敵で、ますます夢中になりました」
完全に“沼落ち”したチカさんは、2020年のドームツアーのチケット5公演分をゲット。しかしコロナ禍で公演はすべて中止になり、2022年の11月になってようやく、東京・名古屋・大阪のドームをまわるツアーが実現した。 「私は3公演に参戦したのですが、声出しはNGで、代わりにハリセン状に折った紙をバンバンたたきながら応援しました。紙にはメッセージが韓国語で書かれていて、それをアンコールで広げてメンバーに見せるんです。いろいろ考えられているなと思いました」 コロナ前と比べて、コンサートの楽しみ方や客層に変化はあったのだろうか。 「歓声も曲ごとの掛け声もないのでステージに集中できますし、新規への圧も減りましたが(笑)、やっぱり声はあったほうが盛り上がるなと感じました。あと、ファンクラブの会員番号を見ると、コロナ以降のファンの増え方がすごい。新規ファンが増えたことで、またコンサートの雰囲気も変わるのではと思っています」 今年は、スタジアムライブの可能性もあるというSEVENTEEN。もちろんチカさんは参戦するつもりだ。