日本でも初確認された「変異株」 現時点で分かっていることは?
世界規模で流行が続く新型コロナウイルスに新たな懸念が浮上しています。いわゆる「変異株」です。主に英国で感染が急速に広がり、12月25日には日本国内でも空港検疫で初めて確認されました。政府は24日から英国からの新規入国を拒否することを決定しましたが、この変異株について、現時点でどんなことが分かっているのでしょうか。 【会見動画】菅首相、年末年始「できるだけ会合控えて」特措法改正にも言及
●日本の水際対策は?
菅義偉(よしひで)首相は25日夕の記者会見で「昨日(24日)から英国滞在歴のある外国人の入国拒否などの措置を強化した。さらに南アフリカ滞在歴のある外国人も英国と同様に入国拒否の対象にすることを決定した」と変異株の問題を受けて水際対策を強化すると表明しました。 変異株が英国以外の国でも報告されていることに関しては「もちろん英国、南アフリカで出ているが、他でもいろんな事案が出ていることは承知している。そういったことも確認しながら、水際対策をしっかりと早急にやっていきたい」と述べました。
●「変異株」の特徴は?
変異株について現時点で分かっている特徴は何でしょうか。国立感染症研究所(感染研)のレポートによると、「今までの流行株よりも感染性が高い」ことです。具体的には、実効再生産数を0.4以上増加させ、伝播のしやすさは最大で70%アップすると推定されるといいます。実効再生産数とは、1人の感染者が何人にうつすかを示す指標で、文字通り感染性が高い株であるということになります。 現時点では「重症化を示唆するデータは認めない」。ただ症例の大部分が重症化リスクの低い60歳未満であるため「評価に注意が必要」だとしています。 多くの症例は英国で見つかっていますが、25日時点の感染研レポートによると、メディア情報も含め、デンマーク(9例)、オランダ(1例)、ベルギー(4例) 、オーストラリア(4例)、アイスランド、イタリアでなど欧州各地で感染例が確認されています。シンガポールや香港、ドイツでも報告されていますが、これらは英国帰国者からの検出であり、国内流行との関連性は認められていないとしています。 ECDC(欧州疾病予防管理センター)は「EU(欧州連合)のほとんどの国では、ウイルスゲノム解析が行われている例が英国よりも少ないため、この新規変異株がすでにEU内で流行している可能性は否定できない」との見解を示しています。 そのほか南アフリカでも変異株の増加が報告されています。ただ南アの変異株は英国のものとは別系統だといいます。感染研の脇田隆字所長は23日に行われた政府の新型コロナウイルス分科会後の会見で「英国だけではなく、オランダやドイツ、オーストラリア、それらは同じ系統の株だが、南アフリカの方は別の系統。そのリスクについてはまだ必ずしもよく分かっていない」と指摘しました。