東京の医療体制が“赤色”に 専門家が口にした「ほぼ確定的な未来」
東京都が独自に設けた新型コロナウイルスの医療の警戒レベルがついに“赤色”に――。都は17日、専門家らによるモニタリング会議を開き、「感染状況」は前週に引き続き「感染が拡大していると思われる(赤色)」、そして「医療提供体制」は初めて「体制がひっ迫していると思われる(赤色)」に引き上げ、ともに4段階で最も高い警戒レベルとなった。11月中旬以降に顕著になった「第3波」の感染拡大で入院患者や重症患者が増加し続け、コロナ患者用の医療と通常の医療との両立が困難になったと専門家は警鐘を鳴らす。都内の医療の危機的な状況を回避するには「新規感染者を減らすしかない」と都民に協力を呼びかけた。 【会見動画】東京・小池知事が臨時会見 医療体制「最も深刻」に引き上げ
日常生活の中でも感染し得る状況
「日常生活の中でも感染するリスクが高まっている」。国立国際医療研究センターの大曲貴夫(のりお)国際感染症センター長は感染の広がり具合をこう警告した。 感染経路は依然として「同居する人」からの感染(42.3%)が最も多い一方、高齢者施設や病院、学校などの「施設」(20.2%)、「職場」(12.4%)、「会食」(6.7%)、「接待を伴う飲食店」(2.9%)など「感染経路は本当に多岐に渡っている」と述べた。 地域別で見ても「都内全域で感染が拡大している」。保健所別の届け出では足立区が240人、新宿区が224人、世田谷区が194人と、都内に31ある保健所の約6割にあたる18保健所で100人超の新規陽性者数が報告された。
経験したことのない非常に高い水準
今週の「新規陽性者数」(7日間平均)は513.1人で、前週の424.6人から大幅に増加し、これまでの最大値を更新した。 大曲氏は「週当たり3300人を超え、これまで経験したことのない非常に高い値で推移している」と危機感をあらわにした。第1波の時のような大規模なものではないが、複数の地域や感染経路でクラスター(感染者集団)が頻発しているという。 ちなみにモニタリング会議が開かれた17日午後には1日あたりで過去最多となる822人の新規陽性者が報告されたが、同会議は前日12月16日までのデータで評価を行っているため、この記録的な数値は含まれていない。 年代別では、10代が5.9%、20代が25.5%、30代が19.6%と30代までで5割以上を占めた。さらに40代は15.8%、50代は12.4%、60代は6.8%と続き、65歳以上の高齢者は494人(14.6%)と前週の468人(16.0%)から増加した。