祖父母が、孫の歓心を「お小遣いでつなぎ止める」と不幸を招く理由
最近の子どもは「シックスポケット」を持っていると言われているそう。両親のほかに祖父母が計6人からお金をふんだんにもらえる孫を指す言葉です。孫が喜ぶ顔を見たいという気持ちから、つい高価なものを買ってあげたり、小遣いを渡したりしてしまうのはあるあるです。しかし過剰な金銭援助は、不幸を招く可能性があります。書籍『お金をかけない「老後」の楽しみ方』から紹介します。 【心が軽くなる言葉】人間関係が良くなる8か条 ※本稿は、保坂隆著『お金をかけない「老後」の楽しみ方』(PHP研究所)より、内容を一部抜粋・編集したものです。
教育こそが一生の財産 子どもが「選んだ道」を進ませる
Xさんは、団塊世代より一世代前に薬剤師になった人です。実家が薬局だったわけではなく、平均的なサラリーマン家庭だったとか。薬剤師になるには大学に進まなければならず、兄弟も多い時代だったので、両親の負担はけっして小さいものではなかったでしょう。それでも薬剤師になりたい気持ちを抑えられず、おずおずと両親に進路についての希望を話したところ、ご両親はこう話して賛成してくれたそうです。 「うちはこれといった財産は残してやれないから、子どもに教育だけはつけてやりたい。これと思う道を進んでいきなさい」 それから有為転変――。高度成長期もあればバブル沸騰期もありました。やがてバブルは崩壊し、家や株などの財産は時代とともに翻弄されたけれど、身についた教育や資格は揺らぐことなく、Xさんの「一生の財産」になっています。 でも間違えないでください。薬剤師になったからお金が儲かり、一生の財産になったということではありません。自分が信じる道を進むことができ、その仕事を通じて、Xさんは充実感や生きがいを持つことができた。これが一生の財産なのです。 Xさんは自分が親から受け取った教育こそが、一生の財産であるという考え方をわが子にも貫き、自分ができる最大限の後押しをして、二人のお子さんをそれぞれが選んだ道に進ませたそうです。 この記事の読者である年齢層には、子どもの教育はだいたい終わったという人が多いかもしれません。でしたら、その次の世代、お孫さんの教育に持てるものを注ぐというのはいかがでしょう。最近、孫の教育資金に祖父母がお金を出す場合、1500万円までは贈与税が免除されることが法的に認められるようになったのはご存じでしょうか。次の項で、それについてくわしくお話ししましょう。