経血漏れで試合敗退の事例も――現場から変える、女子柔道界の月経問題 #性のギモン
青色の柔道衣やスポーツ用生理用品で漏れ対策
女性柔道家たちは日ごろ、それぞれに合ったやり方で月経対策をしている。日本代表など一部の選手は低用量ピルを服用して月経周期や体調を管理しているが、多くの場合、柔道衣や生理用品を駆使している。 例えば青色の柔道衣は女性柔道家の強い味方だ。白色に比べて経血漏れが目立ちにくいのがその理由である。柔道衣メーカーの担当者によると「大人になってから柔道をはじめた人に愛用者が多い印象がある」という(ただし、青色柔道衣の着用を認めていない道場もある)。 生理用ナプキンは、最近ではショーツ型やスポーツ用が支持されている。ショーツ型はお尻をすっぽり包み込み、経血を前後左右で受け止めてくれるため安心感がある。以前から大人用の紙おむつを使用している人もいる。スポーツ用は、順天堂大女性スポーツ研究センターが、スポーツ庁の委託により実施した、スポーツ選手の生理用品に関する調査をもとにメーカーと共同開発。通常の生理用ナプキンよりフィット感があり、ズレにくいという特徴がある。 現役の柔道選手が開発に参加した吸水機能つきのサニタリースパッツに対する期待度も高い。柔道は立ち技と寝技があって動きが複雑であるうえ、軽量級から重量級までさまざまな体形の選手がいる。「従来の吸水機能つきショーツでは経血漏れを防げない」という声に応えて、世界柔道選手権優勝経験者が考案し、開発された。最近の選手はほとんどが普段から下ばきの中にショートタイプのスパッツを着用していることから、抵抗なく身につけられるという。
川原さんたちの埼玉県女子柔道振興委員会は結成8年目を迎え、新たなフェーズに入っている。発足当時は女性柔道家16人だったメンバーも、現在は男性2人を含む31人に増えた。全国各地で女子柔道振興に携わる人々との連携も進み、勉強会や試合を合同開催するようになったほか、昨秋にはハンドブックの第2号として『次世代柔道ガールのセルフケアガイド』を発行。女子に多いケガの予防をテーマに、月経との関連についても紹介している。川原さんは言う。 「近年の研究で、月経周期とケガのリスクに関連があることがわかってきています。とくに黄体期(排卵後から月経開始直前までの約2週間)は関節が緩くなることから、女子柔道選手に多い脱臼やヒザの前十字靱帯断裂などを発症しやすいと指摘する研究もあります。また、黄体期はホルモンの影響で体重も落ちにくくなりますから減量には向きません。こうした情報を柔道を楽しみたいと思っている女の子たちにもっと届けていきたいと思っています」 --- 「#性のギモン」は、Yahoo!ニュースがユーザーと考えたい社会課題「ホットイシュー」の一つです。人間関係やからだの悩みなど、さまざまな視点から「性」について、そして性教育について取り上げます。子どもから大人まで関わる性のこと、一緒に考えてみませんか。