ゲイと公表した後も怖かった――與真司郎が得た「自分らしく生きる」実感 #性のギモン
男女混合のダンス&ボーカルグループ、AAA(トリプル・エー)の與真司郎(あたえ・しんじろう)さん(35)は、昨年7月、自らがゲイであることをファンミーティングで公表した。ゲイと公表した後も「怖かった」けれど、「やっと最近、本当に自分の思ったことを言えるようになりました」と話す。與さんが日本の芸能界に思うことは。LGBTQ+の人が自分らしく生きるために、どんな世界になってほしいと願うのだろうか。カミングアウトから約半年を経た心境を聞いた。(取材・文:長瀬千雅/撮影:殿村誠士/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部)
海外からの反響にも驚き「やってよかったと思えました」
「カミングアウトしてから約半年経ち、やっと最近、本当に自分の思ったことを言えるようになりました。今までのイメージがあるから、『真(しん)ちゃん、それは違くない?』と思う人もいるかもしれないけど、本当に思ったことを言葉や歌にして届ける。それを目標に、今、毎日生きています」 ダンスが好きで、14歳で芸能界に飛び込み、16歳から「AAAの與真司郎」として生きてきた。AAAは男女混合のダンス&ボーカルグループで、思春期のみずみずしい恋心や、未来へ向けて踏み出す勇気を歌って、中高生を中心に絶大な人気を誇った。 2023年7月、與さんは東京・渋谷で開催したファンミーティングで、ゲイだということをカミングアウトした。 「カミングアウトする前はやっぱり不安で。アジアではカミングアウトする人が、欧米と比べて多くありません。特に僕のような職業だとほとんどいないので、ロールモデルがいなかった。ファンの方が受け入れてくれるかどうかもわからないし、どんどん人が離れていって、音楽を続けるのも難しくなるかもしれない。同じ時期に独立したんですけど、それも初めてのことで、自分の未来がどうなるかわからないと不安しかありませんでした」 当日、與さんは推敲を重ねた長い手紙を読み上げ、途中泣き崩れながらも、思いを伝えきった。ファンは驚き息をのんだが、與さんが涙で話せなくなると「がんばれ!」と声が飛び、拍手を送った。與さんのカミングアウトは、世間にも驚きをもって迎えられ、国内だけでなく、海外でも多数報道された。 「予想以上の反響があって驚きました。たたかれることも覚悟していたんですけど、ポジティブなコメントがとても多くて。(SNSの)DMに、『あなたがしてくれたことは素晴らしい』とか『あなたが人生を変えてくれた』というメッセージがたくさん届きました。日本だけでなく、韓国語や中国語、英語、スペイン語……世界中から。やってよかったと思えました」