スタチンとナノ構造体で視神経を再生・保護、緑内障の治療に期待 米大が成果
視神経の生存を調べると、スタチンもしくはMBV単独では神経節細胞を保護するのは網膜の一部の領域となるが、併用だと全ての領域で細胞を保護していた。 再生能と保護能で、なぜ単独より併用のほうが相乗的な効果があるのか、遺伝子発現から確認した。発現が2倍以上変化した遺伝子の数は、スタチン単独217、MBV単独404に対し、併用は192と少ないが、それぞれの変化量上位10遺伝子をみると、併用した場合は10個全てが免疫反応に関わる遺伝子だった(スタチン単独は0遺伝子、MBV単独は2遺伝子)。
併用した場合には免疫反応に関わる好中球や単球が網膜内で増えることが確認でき、「フルバスタチンやMBV単独では活性化されない免疫系の働きによって、より高い再生能と保護能が生じると考えられる」と桑島助教は話す。
マウスではフルバスタチンとMBVの併用で保護能と再生能が高まると分かったが、ヒトでの安全性を確認するためには、ヒトに近いサルなどの動物実験が今後必要になる。2剤はヒトでの臨床で使われる薬や材料であることから、安全性への期待は高く、桑島助教らは数年以内にサルでの実験を目指している。
研究成果は、「npjリジェネレイティブ メディシン」電子版に10月26日付けで掲載された。