「免税事業者のままだと取引から排除されるかもしれない」ーーインボイス制度開始で予想される混乱
「価格に転嫁できていない場合でも、消費税は否応なくかかってしまうので、自分や外注先の取り分を減らすなどして消費税を納税するしかない。この30年間、ずっとそういうことが行われてきた。だからGDPが伸びないんです」 菊池さんは「レシートや領収書に書かれている10%や8%の税額はあくまで価格の一部と解すべき」と話す。 「消費税は事業者にかかる税であって、(消費者からの)『預かり金』ではないんです。このことは、税務署側・国側も裁判で認めています。なので、『免税事業者はピンハネしている』という主張も成り立たないのです」 国内の15の税理士会のうち、11の単位会がインボイス制度に対して反対・見直しなどを求め、4つの単位会で凍結・延期を求める意見書を出している。 「影響を受けるのは個人事業主や中小企業だけではありません。インボイス制度導入後の事務負担に耐えられる企業なんてあるんでしょうか? すべての企業で大混乱が起きて地獄になると思いますよ」 12月6日の臨時国会で、インボイス制度の中止について尋ねられた鈴木俊一財務大臣は、「(インボイス制度を)取りやめるということではなくて、円滑に移行していくというのが政府の立場で、そのための措置をいろいろとさせていただいているところ」と答えた。