大晦日RIZINデビューの“キングカズ”次男の三浦孝太が去就注目の父に“共闘エール”…「どんな冒険になっても大丈夫」
目標とするファイターはいない。 「いろんな選手のいいところを見ている。誰みたいになりたいというより、実力でRIZINに上がってきた選手といつか拳をまじえて、新しいジャンルでみんなにいろんなものを見せられればいい」 朝倉兄弟のメディアを有効活用して格闘技界の発展に寄与している姿や那須川天心のボクシングへの挑戦やかつてMMAルールで戦った姿を「意識して見ている」という。 対戦したいファイターの名も封印した。 「自分はまだそれを発言していいレベルにない。それはあえて今はまだ言わない」 謙虚だ。 これからの目標を尋ねると、「実力がないにもかかわらず話題性でこういう舞台に立たせてもらうので勘違いせずに実力で上がってきた選手みたいに実績をあげれていければいい」と、慎重に言葉を選んだ。 なぜサッカー界のレジェンドの血を引くサラブレッドは、格闘技界への異例の挑戦を決断したのか。 そもそものきっかけは、高校時代に、週に一度のサッカーの練習が休みの日に、たまたま総合格闘技ジムにボクシングレッスン日があり、「興味本位に」参加したのが始まり。ボクシングの関連動画を検索していると、那須川天心の関連ワードが山のように出てきて、さらに好奇心が高まり、2018年9月30日にさいたまスーパーアリーナで開催された「RIZIN.13」をプライベートで見にいった。キックルールで那須川天心と堀口恭司が対戦したビッグマッチを目の当たりにして「総合格闘技の魅力に惹かれた」という。 本格的に格闘技を学ぼうとジム選びに迷っていたところで知人の紹介で宮田氏と出会い、プロ格闘家の道へ進むことになった。 その根底に流れているのはキングカズから継承されている「三浦家のDNA」だ。
「確かに格闘技ファンからすれば、小さいころから、格闘技をしてきたわけではないので、大丈夫かなという感じで見られると思う。でも小さい頃からやってないからこそ気づけることも多いと思う。冒険的な感じにはなるが、お父さんも、そういう生き方をしてきた。その血を受け継いでいると思っているので、どんな冒険になっても大丈夫」 父も単身15歳でブラジルに渡り、自らの人生を切り開いた。 三浦家のDNAですか? そう質問すると、「そうですね。自信をもってやっている」と、真っすぐな目をした。 最初にRIZINから出場オファーがあった際に両親に大反対された。 実は、孝太も同じ考え方でいた。 「この舞台にずっと憧れてはいた。でも、選手が苦労して(RIZINの舞台に)上がってきているのを知っていたんで、まだ実績のない自分が、そこに立っていいのかと思っていた」 両親の意見に納得し、一度は、遠慮したが、再度オファーが届いた。 もう一度家族会議が開かれ、父からは、こんな言葉をもらった。 「チャンスというのは、何回もくるわけではない。孝太が出たいのであれば出るという選択肢は悪いことではない。話をいただいたからには挑戦するのもひとつだ」 その助言が悩んでいる孝太の心に響いた。 「反対されるのを覚悟の上で出たいという気持ちがあった。それを素直に親に言ったら一気に応援してくれるようになった」 カードの発表会見で着用したワインレッドの派手なスーツは、父がセレクトして用意してくれたものだった。キャンプ中だった父に電話で「スーツがない」と助けを求めると、2、3着用意されてあり、最初は上下真っ赤なスーツを薦められた。Jリーグ元年のオープニングセレモニーで風船の中から飛び出してきた父が着ていたトレードマークとも言える真っ赤なスーツである。だが、「自分にはまだ早い。全然似合っていなかった」と、それは拒否。もう一組あったワインレッドのジャケットと紺のパンツのセットアップを選んだ。 母のりさ子さんからは手料理のサポートがある。 今回の試合は66キロ契約。減量は4キロほどだが、「お父さんの食事を作っていて(栄養学を)わかっている」という母が、脂肪分などをなくした減量の食事メニューを作ってくれているという。