TBS「サンモニ」張本氏の女子ボクシング蔑視問題への違和感残る謝罪を巡ってネット再炎上…当事者はどう受け取ったのか?
だが、番組のメインを張る関口ではなく、サブキャスターの唐橋アナに謝罪させた進行方法や、張本氏のコメントの短さと、その内容に違和感を持った視聴者が多くネットは再度炎上した。 「番組の謝罪になっていない謝罪」「関口さんや張本さんより先に女性アシスタントの唐橋さんが先に謝罪するのはおかしくないか」「張本氏は反省しただけで謝罪はしていない」「何をどう言い方を間違えたのか意味不明」などという批判の声が殺到。 「唐橋さん」「張本さん」がSNSのトレンドランキングのトップになるほど再炎上した。 張本氏は、これまでも番組内での発言を巡って何度も炎上騒ぎを起こしている。今回は、その発言が社会問題化するケースが多い「女性蔑視問題」に抵触したことと、日本ボクシング連盟からのオフィシャルな抗議があったことを重くみて、異例とも言える謝罪時間を番組内に設け、張本氏自身にもコメントさせたものと考えられるが、さらに視聴者の反感を買うことになった。 では、抗議文を送った日本ボクシング連盟は、番組内での謝罪及び張本氏の反省コメントをどう受け取ったのか。 同連盟の内田貞信会長は、「番組を見させていただきました。ネットで、また炎上が起きていることも知っています。連盟としては、こちらの抗議した真意と内容をTBSさんに理解をしていただき、そもそも謝罪されるような方ではないと聞いていた張本さん自身が直々に反省という言葉を口にされましたので、私たちとしては、誠意ある対応をしていただいたと受け取りました。今後、また連盟の活動を応援してもらえれば十分です。もう日本ボクシング連盟から何も言うことはないと考えています」と理解を示した。
張本氏は謝罪文の中で「私の発言は言葉が足りませんでした。入江選手の快挙を称えると共に自分も金メダルを取れるのではと思って、ボクシングをやる女性が増えてほしいということを本当は言いたかったのです。言葉足らずで反省しています」とコメント。 この日も「今回は言い方を間違えて反省しています」と語ったが、何をどうすれば、言葉足らずとなり、言い方を間違えるのか理解に苦しむような反省コメントだった。 だが、過去に番組内で反省や謝罪を一度も口にしたことのなかった“ご意見番”の姿勢を内田会長は評価した。 筆者は、発言のきっかけとなった入江に対する謝罪の言及がないことに違和感を覚えたが、内田会長は、「女子ボクサー全員に対しての謝罪、訂正であると受け取りました。入江をはじめとして選手たちにも伝わったと理解しています。逆に今回の問題を通じて女子ボクシングの安全性や、アマチュアボクシングの歴史、競技性、その奥深さなどへの理解が、これまで知らなかった一般の方々にも広まったのではと今は前向きに捉えています」と言う。 内田会長によると入江の金メダル、フライ級の並木月海(22、自衛隊体育学校)の銅メダルという史上初のWメダル獲得に対する反響は大きく、同連盟に「女子ボクシングをやりたいがどうすればいいのか」、「どこのジムで女子に教えてくれるのか」などの問い合わせが全国から多く寄せられているという。 内田会長は「もうこれ以上、この問題が騒ぎにはなってもらうことは願いません」と騒動の幕引きを願った。 報道、発言の自由は担保されなければならないし、過剰なネットの反応が“言葉狩り”や、社会問題化しているSNSでの誹謗中傷につながっていくことにも警戒しなければならない。 だが、影響力のある“ご意見番”張本氏の言葉が、公共電波に乗る以上、それは居酒屋などのプライベートな空間での“ボヤキ”では済まされなくなる。張本氏の発言から、放言と毒がなくなれば、「喝!」と「あっぱれ」で人気を博しているコーナーの面白みがなくなるのかもしれないが、報道番組と名乗る以上「調和と多様性」の時代に、許されない言葉や表現があることを、そもそも番組サイドが張本氏を“教育”し“議論”を深めておかねばならなかっただろう。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)