井上尚弥が見つけたWBO王者カシメロの弱点とは…リゴンドーとの“世紀の凡戦”僅差判定勝利後に“中指”を立て挑発も
プロボクシングのWBO世界バンタム級タイトルマッチが14日(日本時間15日)、米カリフォルニア州カーソンのディグニティ・ヘルス・スポーツパークで行われ、同級王者のジョンリエル・カシメロ(32、フィリピン)が、2階級制覇王者でWBA世界同級正規王者のギジェルモ・リゴンドー(40、キューバ)に2-1判定で勝利し4度目の防衛に成功した。最初から最後まで徹底して足を使い、ディフェンシブに戦ったリゴンドーをつかまえきれずカシメロのファイトは空振りしたが、あまりにもリゴンドーの手数が少なく攻勢点が2人のジャッジに支持された。試合後、カシメロはリング上で中指を立てて「ドネア(WBC世界同級王者)とやって最後は井上だ」と4団体統一を狙うWBA世界同級スーパー、IBF世界同級王者の井上尚弥(28、大橋)を挑発。WOWOWでゲスト解説をしていた井上は、WBC世界同級王者のノニト・ドネア(38、フィリピン)よりも先にカシメロと対戦したい意向を示した。井上のベルト統一ロードが面白くなってきた。カシメロは、これで31勝(21KO)4敗。
徹底して足を使われカシメロの強打が空回り
最後まで場内のブーイングがやまなかった。リゴンドーは1ラウンドから12ラウンドまで徹底して足を使い動き回った。自分からリスクを冒して攻撃は仕掛けない。最終ラウンドは最初に珍しく自分から先に左ストレートを打ち込んだが、以降は、またリゴンドースタイル。一方のカシメロのパンチも空を切り続けた。ただ追いかけまわすだけで、まともに当たったパンチは左右のボディショットぐらい。カシメロの攻勢点を取るのか、それとも1ラウンドに数発程度当てたリゴンドーの左のカウンターを取るのか。各ラウンドの採点基準も難しかったが、試合終了のゴングが鳴ると、2人はほぼ同時に「オレが勝った!」とばかりに両手を突き上げた。 名リングアナウンサーのジミー・レノン・ジュニアが「スプリットデシジョン」と伝えてから、ジャッジペーパーを読み上げた。1人目が「115ー113」でリゴンドー、2人目が「116ー112」でカシメロ、そして3人目が「117ー111」という大差スコアで、「スティル(防衛)」とアナウンスされると、カシメロはその場に両ひざを着いて喜びを表現した。 「(逃げ回るリゴンドーに)驚いたよ。五輪で2度金メダルを獲得してるオリンピアンである彼を尊敬はしているが、イライラさせられた。最高のコンディションで来たのにひどい試合だった。ノックアウトしたかったが、彼は逃げ回って、ちゃんとファイトしてくれなかった」 カシメロは打ち合わなかったリゴンドーを批判した。 一方で、“世紀の凡戦”を演じてしまったリゴンドーだが、悪びれた様子などなかった。 インタビュアーが舌鋒鋭く、「あなたは44発(221発中)しか当てていない。それで勝ったと思ったの?」と質問したが、「それ(44発)で十分だ。奴を苛立たせるためのゲームプラン。それが私のスタイルなのだ」と答えた。 米国の権威あるリング誌は「リゴンドーはリングで自転車に乗り、カシメロは、それを追いかけた」と、この試合を表現した。