オリックス宮内「人間の上に立つリーダーの条件は2つ。まずは、チャーミングでないといかん」【和田秀樹の長生き対談③】
『80歳の壁』著者・和田秀樹が“長生きの真意”に迫る連載。宮内義彦対談の3回目。 【写真】和田秀樹×宮内義彦、対談の様子
経営者や管理職に必要なこと
和田 『GOETHE』のメインターゲットは40代だそうです。企業でも中間に位置し、管理職になったり、起業したりする人も多い世代です。そこで、志の高い読者に向けて「人の上に立つヒント」のようなものをお教えいただけたらと(笑)。 宮内 いきなり話が変わりましたね(笑)。 和田 はい。せっかくなので。 宮内 私が思うに、やはり企業は人間社会なんですよ。コンピューターが経営してくれるわけではない。経営者には、人間的魅力と、間違いない経営判断のできる能力という二つの資質が求められると思っています。まず人間の上に立つ人というのは、チャーミングでないといかん、と思いますね。 和田 チャーミング? 宮内 はい。この人と一緒に仕事をやりたい、と思ってくれるかどうか、ということです。 和田 ああ、なるほど。 宮内 チャーミングな人間というのは、遺伝子ではなくて、「自分が自分を磨く」ということをやった人だと、私は思います。磨いているうちに、だんだん人間に深みが出て、魅力が出てくる。やはり、そういう人がリーダーになる組織は、うまくいくと思いますね。 和田 チャーミングには「可愛いらしい」なんて意味もありますが、「人を惹きつける」ということですね。 宮内 そうですね。もちろん可愛げも必要だと思います。ただし、人間的なチャーミングさだけでは、会社はうまくいきません。もう一つの資質として「こっちに向いて行け」と正しい方向を示すことも大事ですから。 和田 確かにそうですね。 宮内 無茶苦茶な方向に行ったんじゃ、いくらチャーミングでもダメです(笑)。人間性と経営力。未来に対して「この会社をどっちの方向に持っていくか」を必死に考えて、みんなを引っ張っていく。そういう人間がリーダーになると、会社は伸びるんだろうな、と思います。 和田 宮内さんご自身も? 宮内 私の場合、確かに方向性は自分で一生懸命考えました。けれども「俺についてこい」と全員を引きずって行くタイプではなかったですね。「この部分は君、この部分はあなた」と権限委譲した。みんなでやったという意識が非常に強いですね。 和田 そうなんですか? ぐいぐい引っ張っていく方だと思っていました(笑)。 宮内 会社をよくしようとしても、トップ一人じゃよくなりません。みんなでやらないとダメなんです。 和田 バカ社長は会社を潰す。 宮内 トップは会社を潰す力があることを自覚したほうがいいですね。そのうえで、一緒に頑張る力が大事なんですよ。 和田 なるほど。 宮内 初めは自分で走りたくなるんだけど、一人で走ったって大したことないんですよ。 「俺が走ったら100点だ」と走っても、やることは五つも六つもあるわけで、全部はできません。だったら、他の人がそれぞれ80点ずつ取ってくれたほうがいい。そんなふうに思ってみんな任せてしまいました。