オリックス宮内「人間の上に立つリーダーの条件は2つ。まずは、チャーミングでないといかん」【和田秀樹の長生き対談③】
息が続かないと生き残れない
和田 やはり先のことが見えてるのでしょうね。例えば、医者であれ経営者であれ「今のことはよく見える」というリーダーはいます。でも「先のことまで見える」というのが優れたリーダーの条件かもしれません。 宮内 自分では先が見えている自信はありませんが(笑)。 和田 例えば、無理して体力を使い果たしたら、長い間は続けられません。宮内さんがここまでやってきたのは、いろんな人に任せる能力があったからでしょう。それも先を見る目が合ったからだと思うのです。 宮内 結果的にうまくいったのかもしれませんね。 和田 精神科医として患者さんを診ていると、いわゆる「潰れてしまう人」って頑張りすぎ系の人に多いんです。だから僕らは患者さんに「自分だけでやろうとせず、部下にも任せたら」とか「休めるときは上手に休んだほうがいいよ」みたいなことを常に言っています。 宮内 仰る通りですね。全体のエネルギーを最大化させるのが組織の上のすることです。だから部下の能力を十分把握したうえで応分の仕事を任せることでしょう。 和田 10年後、20年後もずっと続くってことを考えれば、部下が育つほうがいいに決まってるし、それは非常に理にかなったことでもあると思うんです。
仕事なんて命がけでするな
宮内 話の角度はちょっと違うかもしれませんが、私はいつも会社では「仕事なんて命がけでやるなよ」と言ってました。 和田 素晴らしいですね。 宮内 仕事は人生の目的ではないと、私は思っています。人生の目的はそれぞれ違うでしょうが、大きく括ると「豊かな人生を送ること」だと思うんです。 和田 豊かな人生? 宮内 大金持ちになることではありません。お金はそこそこあればいい。それよりも、心豊かに日々を送ることが一番大事だと思うんですね。仕事は、そのための手段です。社員には、そこを間違えたらいかんよ、と言い続けていました。 和田 いい話ですね。 宮内 時々頑張り屋がおってね、難しい仕事を任せたら「命がけで頑張ります」なんて言うんですよ(笑)。私は「お願いだから命をかけないでくれ。一生懸命に精一杯やってくれたら、それでいいんだから」と。それ以上深刻にやるのはおかしいと思うんです。 和田 僕は精神科医ですが「これ以上やっちゃうと心が折れちゃうな」という限界をわかってない。頑張りすぎて潰れちゃう人が多いんですよ。 宮内 よくないですね。頑張りすぎて潰れては、人生の目標を逸脱してると思います。 和田 そうです、そうです。 宮内 私はしんどい仕事の時でも「ああ、しんどいな」と思いながら「まあ、それでも命まで取られやせん」と。一生懸命やったらそれ以上できないですよね。もうそれでおしまいと、このへんもまた、非常にいい加減にやってました(笑)。