「プラモデルはやっぱり面白い」スペシャル 『007/ゴールドフィンガー』公開60周年記念 映画に出演した中で間違いなく世界で一番有名なクルマ物語
考えた挙句、あきらめきれないプロデューサーは再度アストンマーティンに依頼をしたところ、その時点でもまったく乗り気でないアストンマーティンが、「中古車なら貸してもいいが、返却すること」という条件で、しぶしぶ受けてくれたという。 アストンマーティンよ、ボンドカーの依頼を受けてくれてありがとう、と言いたいが、その時のボンドカーの内容を聞いたアストンマーティンの対応は「うーんなんだかばかばかしいし、面倒くさいなぁ」という感じだったと言うし、中古車のDB5(そのうちの1台はDB5のプロトタイプであるとされている)は、撮影終了後にアストンマーティンに返却することが条件であった。しかも返却された中古のアストンマーティンはボンドカーなどの装備を外されたのち、再び中古車としてアストンマーティンが販売するという、なんとも信じがたい処遇を受けることとなる。その時点ではまだ「ゴールドフィンガー」公開後に、ボンドカーが熱狂的な支持を受け、コーギーがミニカーを急遽発売することになるなどと考えた者はいなかったのだから仕方がないが(ちなみにコーギーの発売した「アストンマーティンDB5 ボンドカー」は世界で最も売れたミニカーなのだという)。
さて、上記の「ゴールドフィンガー」に使用された4台の中古DB5の内訳は、撮影用が2台とされているが、そのうちプロモーション用が2台、プロモーション用が撮影に使用されたことはないまま、上記のように中古車として売却され、そのうちの1台は2006年に(撮影用ではないにも関わらず)、2億3,000万円で個人コレクターが購入し、もう一台のプロモーション用はオランダのコレクターが購入後、博物館に今もある。 さらにゴールドフィンガーの後の、「サンダーボール作戦」のプロモーションには別のDB5が用意され、アメリカなどでプロモーションした後、2019年には6億8,000万円で落札されている。言うまでもなく映画に使用された車輛ではなく、プロモーション用なのだが……。