「プラモデルはやっぱり面白い」スペシャル 『007/ゴールドフィンガー』公開60周年記念 映画に出演した中で間違いなく世界で一番有名なクルマ物語
またアストンマーティンDB5の登場シーンで印象深いものとして、「ゴールデンアイ」の冒頭、モナコの峠道で敵の美人殺し屋であるゼニア・オナトップ(Then you are on a Top の隠語)の運転するフェラーリF355とカーチェイスを繰り広げたピアース・ブロスナン007の乗ったDB5は、2018年にオークションに登場しており、2億5,000万円程で落札されている。
「ゴールデンアイ」の撮影には3台のDB5が使用されたと言われているが、程度の悪い個体を購入してきて手を入れた車輛が2台と、アップに耐えられる1台があったという。オークションに出品されたのはそのうち「程度の悪い、スタントに用いられた」個体(シャシー番号DB5/1885・R)だったため、意外と安いのかもしれないが、いまいち値段があがらなかった理由はピアース・ブロスナンが原因なのか、一切の秘密兵器(映画ではシャンパンを冷やすクーラーやファックスなども装備されていた設定だが、もちろんあれは別撮り)がないからかは不明。なお、オークションに登場しなかったスタント用DB5に関してはそのあとの作品、スカイフォールなどにも出演している。
一方、「ゴールドフィンガー」の撮影に使用されたDB5(シャシー番号DP/261・1)は、すべてのガジェットのついたままの個体で、この一台はまずコレクターのリチャード・ロージー氏が12,000ドル(約180万円、安いっ!)で購入した後、やはりコレクターのアンソニー・パグリーズ3世に250,000ドル(約3,750万円)で譲渡。アンソニー氏はフロリダの個人の航空機収納庫(!)に納めていたが、1997年になんと盗難にあってしまう。結局この1台は長年行方不明状態だったが、中東のコレクターの車庫に保管(盗難されて保管、というのも妙だが)されているというが、いまだ未確認のままだ。蛇足ながらこの一台が発見されれば、30億円以上は間違いないそうだ。