51歳、初めての結婚。ステップファミリーとして「突然、独身から孫のいる身に!」。夫の家族に飛び込む「決断」の決め手とは【体験談】
「家族=家父長制(※)」がスタンダードだという考え方は、今は昔。そのあり方や価値観は急激かつ多様な広がりを見せ、それぞれに唯一の「家族像」が描かれる時代を迎えています。 【データ】男性・女性の未婚率の推移、30~40代女性の結婚願望は? この「家族のカタチ」は、私たちの周りにある一番小さな社会「家族」を見つめ直すインタビューシリーズです。それぞれの家族の幸せの形やハードル、紡いできたストーリーを見つめることは、あなた自身の生き方や家族像の再発見にもつながることでしょう。 さて、第1回目の今回にご紹介するのは、51歳で初めての結婚をし、結婚10年目を迎えたひろみさん(仮名)。 離婚歴のある夫は4歳年上。3人の息子は既に独立していましたが、結婚した瞬間に、息子たちが築いた家庭を含む3家族のステップファミリーとのお付き合いが始まります。さらに、独身の身から一気に「おばあちゃん」という立場まで! 年齢とともに変化した結婚への考え方や、ステップファミリーとの毎日について、ひろみさんにお聞きしました。 ※男性の「家長」が一家の長となり,ほかの家族メンバーに対して絶対的な支配権 をもつ家族制度のこと。 【家族のカタチ ♯1】
「結婚は身売り」――幸せな未来が描けず、自立を目指した20年
“女性はクリスマスケーキと同じ。24歳までは人気だけど、25歳以降は売れ残り”――そんな価値観がまかり通っていた時代に、まさに20代を生きていたひろみさん。ところが、当時の本人は結婚に対してまったく前向きな気持ちになれなかったのだとか。 「だって私ね、結婚はまるで“身売り”だと思っていたから」。 その考えの根本には、ひろみさんの家庭環境がありました。 「母を見る限り、結婚生活はひたすらに自分を押し殺すというイメージしか持てなかったんです。 たとえば食事の時間は、リビングで一人優雅に食べる父を横目に、母と私と弟は別の場所でひっそりといただく。家のことは何もしない父の傍らで、母は文句も言わずせっせとお世話する。 家族同士で本音を言い合うような空気は皆無でしたし、そんな発想自体もなかった。母を見ても、結婚生活が楽しいとかいいものだなんて、まったく思えませんでした」。 理想的な未来やあたたかな結婚生活を自ら手に入れられるとは思えず、「結婚しなくても自力で生きていける人生」を目指したというひろみさん。情報を集め、考え続けること2年。歩むべき道として辿り着いたのは、高齢者福祉の仕事でした。 「人から必要とされ、自分の喜びにもなる仕事だと思ったんです。 当時は別業界で事務職員として働いていましたから、まずはボランティアで経験を積んでから、特別養護老人ホームへ転職しました。笑顔に触れられて、自分が役に立てて、やりがいを実感できましたね。その後、職種や職場を変えながら20年。様々な資格もとって、40代後半には管理職を任されるようになりました。 でもね、そこでやっと気づいたんです。『このままだと、私の人生は仕事だけで終わっちゃう』って」。