「いつも来てくれる」。サッカー五輪代表監督も認識しているサポーターは大学生 同世代のチーム追い2年半、アウェーの洗礼も共に浴びた
パリ五輪初戦のパラグアイ戦に快勝したサッカー男子日本代表。大会が迫る中、私(記者)は五輪に向けてチームを取材し、監督・選手の人柄や周囲の人々を紹介する記事を書くことになった。 【写真】「わがまま過ぎる」チームメートから叱責され人前で何度も泣いた大学時代 身勝手で自己中心的だった青年が…サッカー部同期の記者が見た素顔
代表チームをずっと追い続けてきたわけではないので、チームを深く知る必要がある。まずは大岩剛監督(52)の過去の記者会見や記者団への発言内容を読み返すことにした。すると、ある発言が目に留まった。 「いつも来てくれるじゃないですか。横断幕を出してくれて、相当なパワーですよね。ありがたいですよ、本当にありがたい」 監督の発言は普通、選手や対戦相手の話などが大半を占める。ただ、この日の大岩監督は、「いつも来てくれる」というサポーターに言及し、感謝を口にしていた。 23歳以下の選手で構成する「大岩ジャパン」は2022年3月に始動し、国内外で試合を重ねてきた。そこに「いつも来るサポーター」って、どんな人?。「いつもいる」ってかなり大変なのでは?興味を持った私は、大岩監督の「エスパルスのサポーターらしい」という発言を頼りに、その人物を探してみることにした。(共同通信=河村紀子) ▽「それ、タカヒロですね」
今年2月、Jリーグ清水エスパルスの試合が開催されたスタジアム。スタンドに詰めかけた大勢の中からそのサポーターを探すなら、まずは一番詳しそうな人に聞いてみよう。熱心なファン、サポーターが集まる「ゴール裏」で応援を先導していた男性に声を掛けた。 「あ、それタカヒロですね。呼びましょうか?」。難航するかと思われた人探しは一瞬で解決した。この「タカヒロ」さんが、大岩ジャパンを応援し続けてきたサポーター、塚本隆宏さん(21)だった。後日ゆっくり話を聞かせてもらえることになった。 タカヒロさんは静岡市出身。大学4年生で、選手たちと同世代だ。サッカーが好きで、地元の清水エスパルスを応援するようになった。中学の時、「友達とノリで」ゴール裏の中心部に行ってみた時に、周囲の人たちが「またおいでよ」と誘ってくれたことから、タカヒロさんの“応援ライフ”が始まった。 「勝つとすごく楽しくて」。高校時代はサッカー部の活動の合間を縫ってスタジアムへ。東京都内の大学に進学してからはほぼ全試合に駆けつけている。「(応援を)休んだことはほとんどないですね」