せどらーが家具・家電を持っていったおかげでスッキリした<元ゴミ屋敷>の実家。「更地にしたい」「売りたい」のに出来ないワケとは
◆ゴミ屋敷に隙間が見えてくる そうこうしているうちに、ゴミ屋敷だった祖父の家もだんだんと隙間が見えてきた。 ラタン家具をぜんぶ引き取ってくれた隣町に引っ越してきたばかりの姉弟は、最後のエアコン取り外しゴミ出し日に改めて来てもらうことになり、買った当時はそれなりにお値段しただろうラタン製のリビングセット一式、すべて第二の人生? いや家具生をはじめることになった。幸せになってほしい。 仏壇も無事処分、古い家電もリサイクル法(※1)にのっとって処分され、二階の祖母の婚礼ダンスだけはもう階段をおろせないというので、大工のいとこが急遽出陣、バッキバキに解体してくれ、産業廃棄物としてこれまたトラックで無事搬出。 二階にあった謎のクラブ店用の装飾電飾も価値がありそうということでFさんが引き取ってくれた。 最初にやってきた古着屋のおじいさんは、Fさんが現れあらゆるものが売約済みになっていくなか、マイペースに服だけを運び、最終的には全部詰んで持って帰ってくれた。これは本当にありがたかった。 最初は40万といわれた片付けも、ちょっとした頭脳とテクノロジーと家族の動員で、8万ですんだ。 あれだけ、ものであふれかえっていたゴミ屋敷からすべてのものが消えると、びっくりするぐらいに広かった。 ※1 リサイクル法 「家電リサイクル法」によって、特定家電の処分にはリサイクル料金を支払うことが定められている。メーカーや品物によって料金が異なるため要注意。おおむね1000~5000円。
◆あまりにもめんどい戦い 「終わった」 「終わったね」 「やり遂げたね」 いや終わってない。やり遂げてない。ここからだ。ゴミ屋敷がボロ屋敷になっただけ。 ここから賃貸運用するためにライフラインを修復する、そのために市とNPOに連絡をとって空き家バンクに登録(※2)し、あわよくば補助金(※3)で新しい給湯器などをつけて人が住める状態に戻さなくてはならない。 「めんどい」 気が遠くなった。考えるだけで、あまりにもめんどい戦いだった。 そもそも、誰ひとりこの家を収益物件にしたいとは思っていないのである。 ちなみに、私は伊豆に築75年の家を買ってDIYしてセカンドハウスライフを楽しんでいるが、この祖父の家のある地域にはからきし興味はないし、不動産投資はしたくない。 その理由は、お盆やお正月で集まるたびに、女は狭い台所に押し込められて、男だけがリビングで酒を飲んでいた過去がよみがえって死ぬほどむかつくからである。 出来ることなら破砕して更地にしたい。 いや、できない。なぜなら目の前の公道が売られてしまったから!! できれば売りたい。手放したい。でも売れない。 目の前の道、おまえはなんで道みたいな顔して道じゃないんだ!! ※2 市とNPOに連絡をとって空き家バンクに登録 空き家物件情報を地方公共団体のホームページ上などで提供する仕組みのこと。NPO法人が管理を行っている場合が多く、登録には指定NPOに連絡が必要となる。 ※3 補助金 空き家所有者への補助金制度を設けている自治体も多い。金額や条件などは実家のある自治体のホームページを確認。
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