「学校でも社会でも、親からも褒められてこなかった子が多いです」――日本初の少年院「国際科」で学ぶ、外国ルーツの子どもたち
授業の最後に、少年たちにアドリブで質問をさせてもらった。 「久里浜にやってきて、自分の中で変わったところ、成長したところはなんですか?」 少年のひとりは考えながら、こう話してくれた。いきなりの問いかけだったから、答えはきっと、用意されたものではないだろう。 「この少年院に来て、はじめて日本語を勉強しました。めっちゃ難しいけど、とてもいいと思いました。少年院で自分の弱いところをたくさん見つけて、時間をむだにせずに、がんばりたいです」 発音はまだまだぎこちない。ゆっくりと、一語一語を探しながら、懸命に言葉を紡いでいく。その真剣な表情を信じたいと思った。 ___ 室橋裕和(むろはし・ひろかず) 1974年生まれ。週刊誌記者を経てタイ・バンコクに10年在住。帰国後はアジア専門の記者・編集者として活動。取材テーマは「アジアに生きる日本人、日本に生きるアジア人」。現在は日本最大の多国籍タウン、新大久保に暮らす。おもな著書は『ルポ新大久保 移民最前線都市を歩く』(辰巳出版)、「北関東の異界 エスニック国道354号線―絶品メシとリアル日本―」(新潮社)など。 本記事は、Yahoo!ニュースがユーザーと考えたい社会課題「ホットイシュー」、「子どもをめぐる課題(#こどもをまもる)」の一つです。 子どもの安全や、子どもを育てる環境の諸問題のために、私たちができることは何か。対策や解説などの情報を発信しています。