入学後3週間で不登校になった息子「学童で見るテレビが怖い」HSCだから?【沢木ラクダさんの体験記】
HSCってなに?
ノンフィクションライターの沢木ラクダさん。入学後3週間で小学校に行かなくなったHSC(Highly Sensitive Child=ひといちばい敏感な子ども)の長男をめぐる家族の葛藤の日々を綴った日記エッセイ『せんさいなぼくは小学生になれないの?』を出版しました。 HSCとは何なのか? 長男の〝行きしぶり〟〝不登校〟とどう向き合われたのか? 著書の内容より、紹介します。 沢木ラクダさん(以下、沢木さん):私の息子はおそらく「HSC(Highly Sensitive Child=ひといちばい敏感な子ども、環境感受性が高い子ども)」と呼ばれる心理的特性を持っています。外交性、協調性などと同じパーソナリティの一つとされ、最近、話題になることが増えた「繊細さん」=「HSP(Highly Sensitive Person=ひといちばい敏感な人、環境感受性が高い人)」の子ども版です。 思いつくままにあげても、息子には、以下のような特徴があり、それらはHSCのよくある傾向だといわれています。 ・大人の心をよく察する ・においや音に敏感 ・シャツの首元についているタグがチクチクするのを嫌う ・新しいことをはじめる前に、とても時間をかけて観察する ・人前で話すのがとても苦手…… 沢木さん:HSCは、病気や障害ではなく、気質や性格の特性であり、わかりやすく言えば発達の凸凹と考えられています。心理学の研究にもとづく感受性の尺度はありますが、医学的に診断されるものではありません。 その特性は、0か1で持つものというより、濃淡のあるグラデーションなので、いわゆる〝定型発達〟の人でも、先ほど挙げたような特性に心当たりがある方もいるかもしれません。 しかし、5人に1人ほどの割合でいるといわれるHSCは、自分の意思ではどうにもならない、はっきりとした凸凹の傾向を持っているようです。それが集団生活を行ううえでは困難につながることも少なくないといわれています。精神科医の明橋大二先生は、臨床経験から日本の「不登校の8~9割がHSCではないか」とも指摘しています。