入学後3週間で不登校になった息子「学童で見るテレビが怖い」HSCだから?【沢木ラクダさんの体験記】
共働きで忙しいのに、息子が学校に行かない
【沢木さんの家族構成】 本づくりや取材執筆活動を行っている沢木さんは取材や打ち合わせがなければ自宅で働き、料理以外の家事を主に担当。妻は教育関係者。9時~17時に近い働き方で、職場に出勤することが多い。寡黙で優しい小1の長男とおしゃべりで陽気な保育園児の次男の4人家族。 沢木さん:長男が通っていたのは子どもたちの個性に寄り添う幼稚園だったので、この特性が問題化することはありませんでしたが、ルールや集団行動が重視される公立小学校に入るやいなや、新しい場や活動に慣れるのに時間が必要だったり、人前で話すのが苦手だったり、刺激で疲れやすかったりといった、この特性に伴うのであろう長男の行動が“問題”として立ち上がっていきました。 そして、入学早々に行きしぶりをはじめ、5月の連休明けには学校に通うことができなくなってしまったのです。 私たち夫婦は途方に暮れ、正直うろたえました。つい3月まで元気に幼稚園の園庭を駆け回っていた息子が、うつろな表情をして自宅で毎日テレビを見ながら過ごしているのです。え、これって、不登校? なぜ? 小1でなるの? いちばん身近なはずの子どものことがよくわからなくなりました。 いったいぜんたいどういうかたちであれば、この子は学校に通えるのか? あるいは、学校以外の選択はどう可能なのか? 親の常識は、揺さぶられていきました。
【4月18日】学童で見るテレビが怖い……
【あらすじ】 著書『せんさいなぼくは小学生になれないの?』は緊張しすぎて体育館に入場できなかった4月8日の入学式から、長男の〝行きしぶり〟と〝不登校〟に対する沢木家の葛藤と模索の日々が日記形式でつぶさに記録されています。1週目、長男は教室まで付き添いながらなんとか学校に通ったものの、2週目から〝行きしぶり〟が顕著になっていきます。 沢木さん:4月18日(月)。長男は学校に行きたくない理由を「学童がいやだ。テレビが怖い……」と最初は言いました。我が家は夫婦共働きのため、入学式前の4月1日から学童を使っていました。1年生は、入学後、午前授業が多いので、学校が終わってから夕方まで、学童で過ごしていたのです。 特に、昼食後にテレビを見せられるのがいやなようでした。そこで流されるのは、子どもたちに人気のアニメばかりなのですが、息子は時々出てくる戦いのシーンや、不安をかき立てるシーンなどが「怖い」と言っていました。とても怖がるので、その時間だけ別の場所で見守ってもらえないかと入学式の前から相談していましたが、認めてもらえませんでした。 沢木さん:長男はその間、DVDを見ている子どもたちと同じ大部屋の片隅で、スタッフと過ごすことになりました。ただ、その場所はカーテンで仕切られているだけ。映像は見えなくても、「音が聞こえて怖い」と長男は言いつづけました。 HSCにとって、怖い映像への恐怖感は、大人の想像以上のようです。このときはまだHSCを知らなかったため、学童側に配慮を強く求めるという発想は持てませんでした。息子は毎日学童を嫌がるようになっていきました。