森保Jが抱いた違和感…なぜ日韓ライバル対決は3-0の一方的スコアで終わったのか
日本が作戦を見破ったがゆえに逆に韓国のゼロトップは中途半端になり、前線からのプレスも、球際での攻防も甘くなった。鎌田が覚えたいい意味での違和感が日本に主導権を握らせ、前半17分に右サイドバックの山根視来(川崎フロンターレ)が、史上34人目となる代表デビュー戦でのゴールを決めて先制。10分後にはカウンターから鎌田がもちこみ、そのまま右足でゴールを叩き込んだ。 カウンターに転じたシーンも鎌田が感じた狙いを全員で共有して生まれた。日本陣内で韓国がつなごうとしたパスがこぼれた瞬間にMF伊東純也(ヘンク)が素早く反応して、前方にいたFW大迫勇也(ヴェルダー・ブレーメン)へ速く、鋭いパスを入れた刹那だった。 鎌田に伊東、ボランチの遠藤航(シュツットガルト)、そして逆サイドにいたMF南野拓実(サウサンプトン)がいっせいにスプリントを開始。大迫が巧みにボールをキープする間に追い越し、パスを受けてペナルティーエリア付近にまで迫っていった鎌田には選択肢が2つあった。 最初は自身の右側を駆け上がっていった伊東へパスを預け、クロスを放ってもらう青写真を思い描いた。自分だけでなく遠藤、南野、そして大迫も韓国ゴール前へと迫っていたからだ。しかし、対峙した韓国のキャプテン、DFキム・ヨングォン(ガンバ大阪)を見て2つ目の選択肢に変えた。 「相手の選手の対応があまりよくなかったので、仕掛けたらいけるかな、という感覚でした。僕自身もゴールがほしかったし、まだ前半だったので、仕掛けるのならやり切ろうと思って」 キム・ヨングォンのチェックが甘く、ペナルティーエリア内で鎌田が身体の向きを右へ変えると簡単に引っかかった。キーパーのチョ・ヒョヌ(蔚山現代)らも、その動きにつられた次の瞬間に右足を一閃。2019年10月のモンゴル代表戦以来となる、代表2ゴール目をもぎ取った。 ヨーロッパ組だけの陣容で臨んだ昨秋の4試合。最後の強豪メキシコ代表との一戦で、後半から陣形を変えてきた相手をつかまえきれずに2点を奪われて完敗した。ベンチからの指示以上に、サッカーではピッチ上にいる選手が相手の変化を敏感に察知し、意識を共有しながら戦わなければいけない。メキシコ戦で学んだ教訓を、韓国に惑わされなかった戦いのなかでしっかりと生かした。 韓国戦が近づいてきたなかで、吉田はふと気がついた。10年前の札幌ドームでの一戦を経験している選手は、今回の代表チームでは自分だけしかいない、と。同時に国際Aマッチではないものの、2012年のロンドン五輪の3位決定戦で、韓国に0-2で完敗してメダルを逃した悔しさも蘇ってきた。 「韓国は歴史的に、あくまでもスポーツ的にライバル国ですし、個人的なことを言えばロンドン五輪で韓国に負けたときは、二度と韓国には負けたくないというコメントも残しました。その意味ではずっと韓国と対戦するのを楽しみにしてきたし、個人的にはものすごく大切な一戦になる」