なぜ久保建英と三笘薫の初共演は不発に終わったのか…Uー24代表がアルゼンチンに0-1惜敗の理由
視線を落としながら東京スタジアムのピッチを後にする姿が、23歳のMF三笘薫(川崎フロンターレ)の胸中に渦巻く不完全燃焼の思いを物語っていた。放ったシュートが0本のまま後半21分にベンチへ下がった瞬間に、19歳のMF久保建英(ヘタフェ)との初共演は“不発”で幕を閉じた。 南米予選を1位で突破して東京五輪に乗り込んでくる金メダル候補国、U-24アルゼンチン代表に0-1で苦杯をなめさせられた26日の国際親善試合。フル代表に専念している森保一監督に代わり、東京五輪世代となるU-24日本代表の指揮を執る横内昭展監督(フル代表コーチ)は、主戦システムの[3-4-2-1]ではなく[4-2-3-1]を採用して選手たちを送り出した。 アルゼンチン戦を前にして、横内監督は「選手たちの特長が生きる布陣にしたい」と話していた。昨シーズンからJ1の舞台で活躍を続ける三笘を念頭に置いたシステム変更であることは、川崎で務める左ウイングと役割がほぼ一致する左サイドハーフでの起用が端的に物語っていた。 その上でトップ下にすえた久保と、同じピッチ上で初めて共存させた。アルゼンチン戦へ向けたトレーニングのなかで、横内監督の目には三笘と久保の関係が日本の新たな武器になると映っていた。 「2人ともそれぞれのプレーを尊重し合っている面が強い。そうした意味ではコミュニケーションというか、あうんの呼吸というものが彼らにはある感じがします」 しかし、ゴールキーパーにオーバーエイジの選手を起用するなど、本番を見すえた陣容で臨んできたアルゼンチンの球際での強さやセカンドボールに対する反応の速さ、そして狡猾さに日本のすべてが封じ込められた。特に期待を込めていた三笘と久保の連携に対して、指揮官はこう言及した。 「それが効果的に、数多く発揮できたかというと、アルゼンチンになかなかやらせてもらえなかったというところでしょうか」 本来は攻撃的MFながら川崎のチーム事情で左サイドバックを担い、三笘と縦関係を組んでいる旗手怜央を、U-24代表でも初めて左サイドバックとして先発させた。三笘がプレーしやすい環境がさらに整えられたなかで、左サイドにドリブラーが集まるあまりに、攻撃そのものが左サイドに偏った。