城彰二氏が語る森保J圧勝の理由「戦術がフィットせず拍子抜けの韓国と鎌田がもたらした第二の攻撃パターン」
ただでは終わらないはずの日韓戦が3-0という意外なスコアになった。森保ジャパンが素晴らしかったのか、それとも韓国があまりに不甲斐なかったのか。理由は後者。韓国のファンには叱られるかもしれないが、私が見てきたここ数年の韓国の中で一番、酷かった。 とにかく前に出てこない。拍子抜けするほど怖さがなかった。攻撃パワーがないので、前半は日本はディフェンスラインだけでなく、遠藤ー守田のボランチの2枚も下がることなく高い位置でプレーをして主導権を握ることができた。2点差がついた後半になって韓国がメンバーを代えて前がかりに来て、多少は押し込まれたが、それでも、これまでの韓国代表チームが見せていたパワーや激しさというものにはほど遠かった。 ポルトガル代表監督も務めたパウロ・ベント監督からすれば、海外組を招集できず、当初のプランが狂ったのかもしれない。エースのトッテナムのソン・フンミンがいれば、前線に破壊力が生まれ、また違った展開になったのかもしれない。だが、そもそもベント監督が求めるパスサッカーが韓国にはフィットしていないように感じる。韓国チームの持つ怖さが綺麗なパスサッカーを目指そうとすることで死んでしまっている。しかも、この日は、韓国の神童と呼ばれるバレンシアでプレーしている20歳のイ・ガンインを前に置くシステムを組んだ。彼は中盤の選手。このシステムでチームを機能させるのには無理があった。まるで日本のサッカーの”質の低いバージョン”を見せられたようだった。 参考にはなりにくいゲームではあったが、日本代表に収穫はあった。 その一人がフランクフルトでプレーする鎌田だ。この日は、大迫のシャドーに鎌田が入り縦に2トップを組んだ。これまでは大迫が前線でボールを収めて2列目の3枚が流動的に動くのが日本の攻撃パターン。それしかないという苦しさもあったが、ポストプレーのできる鎌田が入ったことで、彼がボールをキープして、大迫が縦に連動し、空いたスペースに南野が動くという第二の攻撃パターンが可能になったのだ。いわば、攻撃の起点が2つになったのである。こうなると相手ディフェンスもつきにくい。