【Q&A】ワクチン報道で耳にする「アナフィラキシー」って何?
新型コロナウイルス対策の「切り札」とも呼ばれるワクチン接種が日本でも始まりました。ワクチンを打つにあたり、多くの人が気になるのはその効果と安全性ではないでしょうか。そして、安全性をめぐる報道の中で耳にする言葉に「アナフィラキシー」というものがあります。何を指す言葉なのでしょうか。米国の国立研究機関の博士研究員で、ウイルス学・免疫学が専門の峰宗太郎医師に聞きました。 政府コロナ分科会が提唱「感染リスクが高まる5つの場面」とは? ※3月2日時点の情報に基づく内容です
Q:「アナフィラキシー」って何ですか?
アナフィラキシーは、薬の投与やワクチン接種後に副反応として起こることもある、アレルギー反応の1つです。 アナフィラキシーには定義があり、「2つ以上の臓器にアレルギー症状が同時に出ること」を指します。例えば、蕁麻疹(じんましん)みたいな発疹(ほっしん)と息苦しさ、息苦しさとお腹の痛み、お腹の痛さと鼻水、などです。 新型コロナウイルスに対するワクチン(mRNAワクチン※)では、臨床試験(治験)のときには出ていませんでした。ところが、実際に多くの人に打っていったところアナフィラキシーが報告されるようになりました。 ※ワクチンの1種。米ファイザー社、米モデルナ社のワクチンはmRNAワクチン。
Q:今回のワクチンで出る頻度はどのくらい?
今回のワクチンでは、100万人の患者当たり米ファイザー社のワクチンで5.0人、米モデルナ社のワクチンで2.8人です。それぞれアップデートされ、4.7人と2.5人になっていますが、基本的にはそのくらいの頻度で起きます。
Q:他のワクチンや薬と比べて多いの?
インフルエンザワクチンだと100万人当たり1.41人なので、それよりは少し多いです。ただ、一般的に使われるNSAIDsという痛み止めを飲むと100万人当たり1300人くらいの頻度でアナフィラキシーが起きます。 また、蜂に刺されると0.3%、お蕎麦を食べると1%程度の頻度でアナフィラキシーは起きるという報告もあります。 これらのことから、今回のワクチンの頻度は極々まれと言えます。