【独占密着】「みんな強い…いや自分が弱い」箱根駅伝2位・駒澤大 3大エースが米大会で感じた世界の壁 挑戦の裏側
今年の箱根駅伝、惜しくも2位だった駒澤大学の鈴木芽吹選手(4年)・篠原倖太朗選手(3年)・佐藤圭汰選手(2年)が、3月16日アメリカで行われたレースに出場しました。出場したのはロサンゼルス空港から車でおよそ1時間の場所にある高校で行われる『The TEN』という大会です。 【画像】3月23日に駒澤大の卒業式を迎えた鈴木芽吹選手
■3大エース 2か月ぶりの再会
鈴木選手と篠原選手は2月にアメリカ・アルバカーキで高地合宿を行いました。そこから一度帰国し、再度渡米するというスケジュール。駒澤大学の大八木弘明総監督は「厳しいスケジュールだが、その中でどう戦うかを経験してほしい」と話しました。 一方佐藤選手は1月中旬から海外の強豪チームの合宿に参加し、2か月間単身アメリカで生活。大会2日前の3月14日、佐藤選手の宿舎に一行で訪問。佐藤選手からリクエストされた日本からの荷物を抱えて久しぶりの再会となりました。中でもうれしそうだったのは大八木総監督。「痩せているじゃん!」と目を細めながら、アメリカでの話に聞き入っていました。佐藤選手は「久しぶりでなぜか分からないけどちょっと緊張しました笑。日本の人と会うのが久しぶりなので嬉しかったです。(英語は)聞き取りはだいぶできるようになりました」と話し、2日後に行われる大会では「日本新記録を狙います」と宣言。
■レース当日の練習で驚きの光景
レース当日の午前練習は各自で30分程度のジョギング。選手たちは個々に散り、好きな場所を走るため出発すると、大八木総監督もジョギングに出発。30分ほどで戻ってきた大八木総監督は、箱根駅伝の5区よりも傾斜があるように思える坂道を猛烈な勢いで駆け上がりフィニッシュ。とても65歳のスピードとは思えませんでした。総監督の気合も入ってレーススタートは夜9時30分過ぎ、どんな試合になるのか胸が高まります。
■世界トップレベルの選手が出場 TheTEN
鈴木選手と篠原選手は2月の合宿でも同じ部屋で過ごしました。仲良く兄弟のようなやり取りを見せながらも互いへの意識が強くある2人。佐藤選手も入れた3人は駒澤大学では「Sクラス」として練習をともにしてきて、良き先輩後輩という関係とともに、ライバルとして高めあってきました。今回3人でのレースは昨年12月に出場した八王子ロングディスタンス以来となりました。 彼らが走る組には、10000m日本記録(27分09秒80)保持者で富士通所属の塩尻和也選手や、歴代2位の記録を持つトヨタ自動車所属の太田智樹選手など日本トップレベルの選手も出場。特に太田選手は鈴木・篠原両選手とアメリカ合宿をともに過ごし、大八木総監督もその強さを認めています。 さらにアメリカ記録保持者(26分33秒84)のグラント・フィッシャー選手などオリンピックでのメダルの期待がかかる選手たちも出場します。 レース前、大八木総監督は3選手に別々の指示を与えていました。鈴木選手にはいけるところまでトップ集団についていくこと、篠原選手にはトップ集団から離れてもその次の集団で粘ること、佐藤選手にはトップ集団についていくことを伝えていました。 10000mは400mのトラックを25周走ります。夜9時35分、35人の出場でレーススタート。するといきなり洗礼を受けます。最初の200m、トップ選手たちは猛スピードで位置取りをし、あっという間に列は縦長となりました。ここで篠原選手は一番後方につきます。「(1周目の)最初の200mがかなり速いなと思ったら残りの200mで遅くなったのでそこで崩れました。あと24周どうしようって」と篠原選手。 鈴木選手はトップ集団についていきますが、3000m過ぎから徐々に後退。そこから我慢のレースとなりました。大八木総監督は「後ろに篠原きてるぞ!一緒に行け!」と指示。終盤は2人一緒の集団でレースを進めました。