【独占密着】「みんな強い…いや自分が弱い」箱根駅伝2位・駒澤大 3大エースが米大会で感じた世界の壁 挑戦の裏側
一方、佐藤選手は順調にトップ集団についていきます。大八木総監督は指示を送るためにグラウンドを駆けまわります。トップスピードで走る選手達に並走して指示を送る姿は驚きとともに、総監督の情熱を感じます。しかし6000mを過ぎると徐々に表情が苦しくなり、先頭集団から後れをとります。大八木総監督も「前につかないと!」と発破をかけます。それでも先頭集団から離された佐藤選手は、全体の20位(27分34秒66)でフィニッシュ。同じ集団で走っていた鈴木・篠原両選手は、最後に鈴木選手が前に出て29位(28分03秒93)、篠原選手は31位(28分05秒70)でフィニッシュしました。 レースを終えると倒れこんだ佐藤選手。頭を抱え悔しさをかみしめているように見えました。
佐藤選手「みんな強い…。いや自分が弱いです。きつくなってから全然粘れなかったです。まだまだ力不足だなと感じました。満足は全くしていないです。同じ大学生のニコ・ヤングが26分台(26分52秒72)で走っているので全然だめです。でもこういうハイペースでのレースはすごくいい経験になったのでこれを次につなげていきたいなと思います」 大八木総監督「世界のトップ選手と戦うのは難しい。やはりペースの上げ下げにまだまだ対応できなかった。もう一回勉強しながらやらないといけないなと。鈴木と篠原は飛行機の移動が多かったので疲れもあっただろうし、今度海外でやるときはきちっと考えてやっていかないとダメだなと思いました。ちょっと可哀想なことをしたなと笑。でもまたチャレンジしてほしいと思っているので整えて頑張ります。佐藤に関してはスピード持久が足りなかった。5000mで12分台を出さないと10000mの26分台は狙えないなというのが見えてきたと思うのでそういう考えで取り組んでくれたら嬉しいなと思います」 鈴木選手「僕は付いていける所までいこうと思ってやったのに3000mとか4000mまでしかもたなかったので、まだその程度ってことです。あとはもう意地でも篠原に勝つことしか考えてなかったです。遅れてしまったあともちゃんと粘ろうと思ったんですけどタレすぎて。移動のきつさを加味してもダメです。移動とかで調整するということを自分の中でちゃんと分かっていなかったので、そういった失敗も次に生かさないと」 篠原選手「あまり走れないレースでしたね。でもこれで日本のレースが走りやすくなると思います。日本のレースはペースが守られたキレイなレースなので。でもこういう上げ下げのあるレースで走らないと世界とは戦えないので頑張ります」 そしてレース後、印象的だったのは篠原選手が2位に入ったニコ・ヤング選手と写真を撮りたいと話しかけに行ったシーン。「ニコ・ヤングは同学年なので。彼は強いので。この悔しさを忘れないように。」写真を撮った理由をこう語った篠原選手。この悔しさは次への糧となります。
■ロサンゼルス観光
レース翌日はロサンゼルス観光に出かけました。試合はありませんでしたが、ドジャー・スタジアムでグッズショップを楽しむなど、総監督も選手もリフレッシュしてロサンゼルス遠征を終えました。それでも鈴木選手は「楽しかったですけど、僕はやはりレースで結果を出したいです」と語りました。 3選手とも試合では満足な結果は得られませんでしたが、世界トップレベルのレースで生きた経験を積み、同じ悔しさを味わい、ここからまた強くなるために一緒に練習をしていきます。彼らの更なる成長が楽しみです。