【地方の実家は、もはや「負の遺産」?】「実家じまい」の超過酷な現実 持っているだけで「意外なお金」がかかり、「思わぬリスク」もある
結婚しても子どもをもたない夫婦、いわゆる「おふたりさま」が増えている。 共働きが多く経済的に豊か、仲よし夫婦が多いなどのメリットはあるものの、一方で「老後に頼れる子どもがいない」という不安や心配がある。 そんな「おふたりさまの老後」の盲点を明らかにし、不安や心配ごとをクリアしようと上梓されたのが『「おふたりさまの老後」は準備が10割』で、6刷突破のベストセラーになり、話題を呼んでいる。 【話題の書籍】「この1冊読めば、老後がずっと安心」と好評の6刷突破のベストセラー『「おふたりさまの老後」は準備が10割』 著者は「相続と供養に精通する終活の専門家」として多くの人の終活サポートを経験してきた松尾拓也氏。北海道で墓石店を営むかたわら、行政書士、ファイナンシャル・プランナー、家族信託専門士、相続診断士など、さまざまな資格をもつ。
その松尾氏が、「家じまい(実家じまい)」について解説する。 ■子どもにとって悩みのタネの「地方の実家」 人は長い人生の中で、たくさんのモノを持ち、たくさんのモノを残して死んでいきます。 それを片づけるのは、残された人です。 「自分には子どもがいるし、家はきっと誰かが使うから大丈夫」などと考えている人も多いかもしれませんが、そんなことはありません。 現在は核家族化が進み、子世帯も自分の家を持っています。
実家が空いたからといって、誰も住まないし、築ウン十年の古い家屋を相続しても、誰も喜びません。 喜ばないどころか、亡くなった人の家財が詰まった家を相続するのは、むしろ面倒ごとでしかないのです。 都心の一等地ならともかく、とくに地方にある実家は「負の遺産」となることが多いのです。 実際、40~60代では親亡きあとの「実家じまい」で大変な思いをしている人が多く、今後も超高齢社会によって、どんどん増えていくでしょう。
今回は、実家の処分に悩むUさんのケースを例に見ていきましょう。 私の知人のUさんは50代。北関東の出身です。 実家のある地方は過疎化が進む地域にあり、高齢者ばかり。 両親の死後、実家が処分できずに困っています。 相続はしたものの、Uさん自身は大学から東京で暮らしており、仕事も家庭も東京にあるため、故郷に戻る予定はありません。 そもそも実家は立地が悪いため、二束三文でも買い手がつきません。 不動産業者に相談したところ「家屋を解体したほうが売りやすいかもしれない」とのことでしたが、それには300万円ほどの解体費用がかかるようです。